「…パーパ」
……その声は…たっくん…!?
「パーパここだよ…」
たっくん?……どこにいるの?
「パーパ……ヘンテコしゃんといっちょだよ」
「ヘンテコしゃん?」
カピバラのとこか?
「ここよ~」
頑丈な鉄柵で囲まれた檻の中に、隆臣がいた。
「たっくん!…どうやって中に入ったの?」
「ヘンテコしゃんにおやちゅ(おやつ)ハイってしてたの」
柵の間から中に手を入れて隆臣に触れようとするが、あと少し届かない。
「ダメだ、早く外に出さなきゃ‼」
「…誰か?」
後ろを振り返ってみると、別の檻の中に臣が立っていて、じっとこちらを見ている。
「臣!そんなとこでなにやってんだ?
早く手を貸してよ、たっくんを助けなきゃ…」
すると、臣は悲しそうに首を横に振った。
「無理なんだ。助けられない」
「なに言ってんだ、早くたっくんを出してあげないと、噛まれたりしたら大変だよ!」
「一度入ってしまったら、二度と出れないんだ」
「え?そんなわけ…」
「俺も…二度とここから出られないんだ」
「…冗談きついよ」
「パーパ」
臣は後で出してやれば…
先にたっくんを出してあげないと
「臣‼︎待ってろ!後で必ず出してやっから!」
「無駄だって言ってんのに…」
「たっくん‼︎」
カピバラの檻の前まできてガチャガチャと柵を揺らすが頑丈でビクともしない。
「くそ!どうやったら入れるんだ?」
「パーパ…」
つづく