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かすかに聞こえてくる音

 

 

 

ピ~ピ~ピ~ドンドン

 

小さく聞こえてきた音

 

きょうは日曜日だから工事はしていないはずだ

 

音の正体を確かめようと窓を開けた

 

ピ~ピ~ピ~ドンドン

 

今度ははっきり聞こえた

 

あれは笛と太鼓の音だ

 

それで思い出した

 

きょうは町内の春祭りだ

 

子どもたちの笛を先頭に太鼓車を引きながら町内を回っているのだろう

 

 

 

ずいぶん昔の記憶

 

息子もあの隊列にいた

 

そしてわたしも役員として

 

コロナでその伝統はいったん途切れたがきょう復活した

 

なぜか嬉しくなって窓を大きく開けてその春の音を部屋に導いた

 

 

 

 

 

 

 

遠くから聞こえてくる音

 

 

 

子どものころのこと

 

隙間だらけの木造住宅

 

どこの家からも夕食の香りが道端まで届くほど

 

そんな家で寝ていると時々遠くの電車の走る音が聞こえてきた

 

すると隣で横になっていた祖母が「あしたは雨だ」とぽつりと言った

 

どうしてか尋ねたが祖母はそれ以上なにも言わなかった

 

今ではそのメカニズムを知っているがあのころは不思議で仕方がなかった

 

夕陽が見えたら明日は晴れだとも教えてくれた祖母

 

その天気予報は大概当った

 

 

 

 

 

 

 

すぐ近くから聞こえる音

 

 

 

もう一つ子どものころの音について思い出した

 

小学生だった

 

当時の学校は木造で廊下側の壁の下は引き戸になっていた

 

今思うとどうしてそうなっていなのか不思議で仕方がない

 

その引き戸の建付けが悪かったのか冬になると隙間風が辛かった

 

その隙間から外気が入り込むときに僅かにヒュ~と音がしていた

 

それが余計に寒さを助長した

 

正直勉強どころではなかったように記憶している

 

それなのになぜか引き戸の横の席になることが多かった

 

あの席はどうやって決めていたんだったか思い出せない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞こえていても聞こえない音

 

 

 

自宅の近くには大きな通りが走っている

 

だから車のタイヤ音やトラックのブレーキ音などが聞こえている

 

これらの音は長い間に日常の暮らしの一部になってしまっている

 

だから実際には聞こえていても自分には聞こえていない

 

不思議だがそうなのだ

 

ただ違法なほどのマフラー音や救急車のサイレンなどには気づく

 

これも祖母が教えてくれたように雨が近づいている日にはクリアな音になる

 

今も気にすれば車の流れている音が聞こえている

 

だがすぐに耳に届かなくなる

 

やはり不思議だがそうなのだ

 

 

 

 

 

そういえばかつてキャンプで隣のテントの話し声で眠れないことがあった

 

それなのに別のキャンプ場ではすぐ下の川の音がうるさかったのに爆睡した

 

本当に不思議だがそうなのだ