一人で夜道を歩きながら、昔のことを思い出した。



苦しかった。辛かった。寂しかった。何度も泣いた。


けど、

それらは全て甘かった。

私は、満たされていた。

そこには確かな幸せがあった。



何のために今があるのか、

何のために過去があるのか、


なぜ私はここにいるのか、


もう全てが分からなくなった。



雅はもういないし、

私の幸せはなくなり、

廃墟と化した乾いた心はもう元には戻らないだろう。


かと言って、死ぬ勇気もない。

ただ意味もなく、

”私”という存在があって、時だけが流れて行く。