愛情に興味がなくなった分、
私はお金に執着するようになった

よくわからないけれど、
お金が必要な気がした


よくわからないけど、
貧しい気がして、

とにかく、お金が欲しかった


決して貧しいわけではなかった

毎月、会社からは給料が振り込まれたし、
十分ではないが、
不自由はしていなかった


だけど、
お金が欲しかった


気がつけば、
高収入バイトの求人を眺めることが
趣味になっていた








彼は恐れていた

私に嫌われることを恐れていたんだ


だから、
いつも私の顔色をうかがっていた


頼んでもいないプレゼントをいつもくれた




「そんな顔しないで。何考えているの?」


「黙っているときが一番怖い」



そんなことをよく言っていた




私はどんどん醜くなっていた

彼のものは自分のもの
私から何かを与えることはなかった

セックスすることすらバカらしくなって、
拒むようになった

彼からの電話に出ることはなくなった
メールも返信しなくなった


自分から用事があるときにしか
連絡をとらなくなった




それでも
こんな関係が3年も続いた


もう誰も好きにはならないとわかっていた

それでも寂しさには勝てなくて、
やっぱり、誰かをそばに置いておきたかった

当時アルバイトしていた先で知り合った5つ年上の男と付き合った


彼は年上だし、
何でもしてくれた


私は貢がせたりするタイプではないから
ものをねだったりはしなかった


それでも彼は、
ちょっとしたものだけど何でも買ってくれた

デート代、食事代、交通費…
全て彼が出してくれた

私は、付き合ってから、
彼の前で財布を出したことがほとんどなかった




彼の愛は時に怖いくらい重かった

好きでもない相手から愛される重圧

はじめは罪悪感にかられたが、
慣れてしまうと欲が出てくる…


好きではないから、
嫌われてもかまわない


そんな気持ちになっていた

どんなわがままも
やつあたりも許してくれた


それでも特別な感情はわかなかった


優しくされればされるほど、
イライラして、
冷たくあたっていた


きっと傷つけている…
それはわかっていてももう自分を止められなかった


家に帰って一人になると
涙が出た


私は、
何なんだろう…


雅に会いたい
優しくされたいのは雅なのに。