大滝やっている知人から、ツキ谷の枝沢に大滝があると以前聞いていた。千尋滝の左岸から入る枝沢に掛かるもので、昨年山行ついでに見に行ってみた。圧倒的な千尋滝と比べると、やはり叶わないが、50〜60mくらいはありそうだなと思った。その知人らが初登したようだが、パッと見はすぐに登ってしまえそうに思えたので記録も敢えて調べず、他の大滝と二本でやってしまおうと思った。

 

岩屋谷・不動滝。

 

 

 まずは、古川岩屋谷の不動滝。今年の春にも行ってるのだが、右岸ルートを登攀するつもりが、リードを請け負ったメンバーがリッジ上にルートをとってしまったので、実質高巻きと変わりのないものになってしまった。シブ&コージとしては、逃げた感が否めず、ちゃんと登っておきたかった。ちなみに、大昔に左岸は登攀している。(2006.7.29)

 

 

 

 

 右岸を巻いて不動滝脇のテラスへ。まず、1ピッチ目はリッジからバンドをトラバースし、スラブを右上し、テラスを目指す。私が、リードを買って出たが、トラバース後の乗り越しが悪くて引き返して、コージにバトンタッチ。リーチ差と言い訳したいところだが、乗り越し後のスラブも細かくて、そんなに易しくなかった。コージに交代して良かったと、内心思う。

 

 

 

 

 

 2ピッチ目は、大テラスからコーナーを直上。クラックあるが、立っているのでアブミをセットしネイリングで上昇。この間行ったハチブセ・関門ノ滝より難度が高いが、もしかしたらフリーで登れるかもしれない。クラックが閉じたところで、左側の凹角に入る。頭に立った時には、日差しを全面に浴びて、汗だくだった。右岸を巻き下って、出合に戻った。

 

 

ツキ谷左岸枝沢“カクレ滝”

 

 

 

 さて、お次はツキ谷枝沢の大滝へ。千尋滝前に左岸から小沢が入るが、それをちょっと登ったところに大滝が掛る。ほとんど水のない小沢だし、奥まったところにあるので、その存在を知る者はいない。正直私も知人から聞くまで、知らなかった。遊歩道を利用しつつ出合から歩いて、30分ほど歩いてその大滝下に到着。

 

 ルートは右岸。昨年、偵察に行った時は滴るほどしか水量なかったが、文句なしのシャワー。差し当たって目指すはピナクルだが、ピナクル直下が被っていて難しそうだ。有無も言わさず、コージのリード。

 最初は階段状で、気持ち良くシャワーを浴びつつピナクル下まで順調に高度を稼ぐ。ピナクル下にはちょっとした外傾テラスがあり、コージはそのテラスに上がって一旦、ピナクルを裏側を覗き込むが、そこは違うのか引き返す。やはりそこしかないのか、見るからに左側の垂壁へトラバース。そこから、痺れるようなエイド・クライミング。岩は脆く、剝れた岩をコージは投げ捨てる。最後は、滑りこむようにして、ピナクル上へ。ビレイしていても、手に汗握った。

 

 

いざ、核心へ。

 

 

 フォローの私がピナクルに達したところで、17:40。頭に達したところで、日暮れになるのは想像できたので、エスケープ。

しかし、懸垂支点に得られそうな立木までは、まだ登攀を続けなければならないし、ハーケン残置はしたくなった。引き続きコージのリードで差し当たって見える、左上方の立木を目指すとコージが言うが、草付きスラブが悪そうだった。

 ラインはむしろ、右上じゃないか?と、コージに叫ぶ。引き返し、コージは水線に戻り、やがて見えなくなった・・・しばらくして、コージのコールが響いた。

 ハング下にはバンドがあり、それを辿って水流を渡ると、左岸の樹林帯に逃れることができた。私が登って来た時にはすでに20時。薄暗がりの中ヘッデンを取り出すと、たちまち、辺りは暗黒に包まれた。私が先頭で、獣の勘を働かせ、左岸を巻き下って、千尋滝前に降り立った。

 完全に舐めていた。不動滝でセットで登ってしまおうなんて。下山予定を大幅に回ってしまい、みんなから心配のメールや電話が入っていた。