4月6日は、晩から集会あったので、近くて短い谷に行こうということで、中奥川トベット谷に行くことにした。

トベット谷は、わらじの大御所・N女史が、戸倉谷に一緒に行った時に「トベット谷もハーケンワークにいいよ」と教えてくれたのだった。『台高山脈の谷』に収録されておらず、記録を見たこともなかったが、わらじの間ではよく登られてきた谷のようだ。前夜のジムトレの後、3時間の睡眠で向かう。

 

トンネル対岸が出合。

 

 

 トベット谷は、中奥川左岸、戸倉谷より一つ上流、ちょうどトンネルの対岸に入る。トンネス手前から斜面を適当に下り、本流に降りると、両岸嵓が立ち、深い淵を湛えていた。里臭い中奥でも、この辺りは異様な雰囲気を漂わせていた。出合付近は幸い浅瀬となっており、渡渉でこなすことができた。出合に立つと、小滝の上に早々と大滝を掛けていた。両岸は50mはあろうかという壁が立っていおり、さっそく核心部をなしていた。

 

いきなり30m。

 

 

左岸を高巻く。

 

 兎に角、滝下に立とうということで、小滝を登って30m前に。コージは、淵をへつろうとして、いきなりドボン!それを見た私は、最初から浸かって小滝を直登。小滝だが抜け口が悪い。

 さて、大滝は30mほどありそうだが、垂壁で直登できるタイプでない。かといって、両岸も壁が立っており、ハーケンワークにと、お気楽に登れる感じでもでない。引き返して、高巻くということになるが、壁が高くて、容易ではなさそうだ。左岸に弱点が見いだされ、小滝の下へ戻って、ザイルを伸ばす。コージ→私→コージと、壁を縫ってザイルを伸ばすこと3ピッチ。かなりな高巻きとなった。

 

 

優美な20m。

 

 

 谷に戻ると、優美な20mのナメ状滝が掛っている。これは右側が登れそうだったが、時短ということで、またもや高巻く。

20m上には5mが続いていて、トラバースで抜けると河原となった。そこの陽だまりに腰掛けて休憩を入れる。Nさん、ハーケンワークにいい谷だと話していたが、高巻きの谷だ。もし登ったとしても、なかなかキツイ登攀になりそうなんだが・・。この上にそんな滝場があるのかもしれないと、コージと話す。

 谷はしばらくゴーロが続く。右岸に枝沢を見送り、更に進んで行くと、谷は不意に消える・・と思いきや、不意に左へ曲がり、CSを掛けていた。正面には前傾壁が伸びており左岸と同時に枝沢の右岸をなす壁になっていた。CSも登れそうだが・・・前傾壁に沿って高巻くことにした。この先、どんな滝場があるのか分からない。晩にわらじの集会が控えているので、スピード優先。

 

 

CS10m。

 

 

 

 結論を言うと、この先には大した滝場がなかった。いや、源頭までひっきりなしに滝は続いた。しかし、ナメや小滝ばかりで、

ザイルを出すまでもないものばかりだった。ハーケンワークというのは、どこのことだったのだろうか・・・?日陰に僅かながらも、残雪を見る。最後は左を詰めて、ジョウカケ谷枝沢との分水尾根上のコルに出た。尾根からは木ノ実ヤ塚から明神平にかけての稜線が対岸に眺めることができた。

 

 

後半はナメと小滝が続く。

 

 

小滝が続く。

 

 

最後は左又を詰めて。

 

 

対岸には木ノ矢塚を見る。

 

 

 昼休みを入れた後、分水尾根を南へ辿る。まだ、新芽も出ていない、枯れた木々ばかりだが、枝先では小鳥が囀る。分岐に出たところで、ザックをデポし、更に南へ尾根を登って高塚のピークを目指す。高塚は、以前、北股川界隈の谷を溯行した時に何度か立ったことがあった。別の谷を溯行し、再びそのピークに立つということは、有機的にその場所を捉えることができる。高塚は何でもないピーク。ピストンし、デポ地点に戻り、今度は北東へ尾根を進む。この尾根上には、戸倉谷下山ルートとなる、モノレール軌道がある。

 よく踏まれた尾根で、明瞭快適。やがて、モノレールと出合う。最初は尾根上に延びていたが、右手の植林斜面を急降下。ここからは、戸倉谷でもお馴染みところだ。最後は小屋に降り着く。中奥川に浸かって、しばし汗を流した。

  それにしても、トベット谷は、見どころは出合の30m前後の滝場だけだった。最初にして最後の。