そこであの大滝を目にして以来、
登攀の思いを抱き続けていた。昨年の秋に計画したものの、寒くて断念。
シャワー必至のラインなので、暑くなるのを待っていたが、10日には近畿地方も
梅雨入りするとの天気予報を聞いて、居ても立っていられず、9日に訪れることになった。
北又谷大滝。
前夜発し、紀伊長島へ。道の駅マンボウで仮眠をとっていると、
パトカーがやってきて、色々と質問を受けた。こういうことやっていると、いいも悪いも
色々と警察のお世話になる。「気を付けてねー!」と言って、去って行った。
少し寝過ごして、道の駅から宮川第一発電所へ向かう。駐車地を出発したのは、6時前。
林道~仕事道を経て、大滝前に到着したのは、7時。すっかり汗だくになって、シャワクラ大歓迎!
朝飯を食べた後、登攀の準備をしようとしたら、ハーネスが変なことになっていて、
あーだこーだ、コージとしていたので、登攀開始したのは8時前だった。
1ピッチ目。
1ピッチ目は私のリードで。右岸のフェイスに取り付く。
簡単だと思ったが、細かく、岩質が脆いので意外と悪かった。大テラスでピッチを切る。
2ピッチ目。
2ピッチ目以降は、コージのリードで。
大テラスからバンドを伝って水流をトラバースする。右岸にカンテ状に張り出した岩があり、
それと水流との間を形成するコーナーを登って行く。カンテ上のテラスに上がるまで、
ずっとシャワーを浴び続ける。この時には太陽は雲の中に隠れてしまっていて、寒かった。
3ピッチ目。
3ピッチ目は、下から見ていてラインがどうなるか?読めなかった。行って見なくちゃ分からない。
テラスから一段上のバンドにあがり、そこから水流側へトラバースし見に行くが、全然無理ということで
引き返す。今度はバンドから草付きを数メートル上昇。コージに言わせると、ここからが一番の核心だった
そうだが、草付からヌメッたスラブをトラバースし、大滝下段の頭に出る。
色々探ってもホールドは皆無で、草付を持って、ヌメッた非常に細かいスタンスで踏み替えることになる。
支点もプアーだ。
4ピッチ目。
クラックを利用し、
ハングを突破!
4tピッチ目。
さらに快適なスラブへ。
さて、4ピッチ目は当初はシャワーのラインを考えていたが寒いので、何とか避けられないかと、
左岸側に突破口を探ることになったが、これが登攀を更に面白くした。
水流の右側、つまり左岸側は被っているが、テラスから一段バンドを上がってみると、
フレークがあり、そこにクラックが入っていた。クラックにカムを利かせ、アブミを掛けて上昇し、
更にハーケンを決める。そこで、コージは色々と探っている。やがて、「行ってみるわ!」という
声を掛けてコージの姿が見えなくなってしまった・・・・しかし、そこからは順調にザイルが伸びて
いっているので、核心は突破したのだろう。ハングを乗り越すと、快適なスラブが広がっていた。
4ピッチ目。
4ピッチ目は完登が目に見えたフィナーレを飾るピッチ。
左岸スラブを更に登り、水流を登って大滝頭にでる。頭で二人落ち合い、握手を交わす。
下山は右岸の巻き道を伝って、滝下に出た。
昨年三月に目にした時に登攀の可能性を感じたが、登って見ると、意外と難しく、
内容ある登攀になった。フリー的なムーブを要求される細かいフェースもあれば、
シャワー全開のステミング、また、ぷちぷち千切れる草付に、ヌメったスラブ。
そして、クラック・クライミング・・・・。大滝フリークにお勧めの一本を開拓できたと思う。
登ったという話を聞いていないので、きっと私たちが初登ということになるだろう。
未踏の滝に取り付き、指先から足先まで、全身でその滝のただ中に入り込み、
自分たちの感性で感じ取り、ラインを見出すというのが、初登の醍醐味だ。
台高の山中で、このクラスの大滝がまだ未踏に残されていたことを、幸運に思う。
コージのブロク↓
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