昨年三月に訪れた三戸川・北又谷。

そこであの大滝を目にして以来、

登攀の思いを抱き続けていた。昨年の秋に計画したものの、寒くて断念。

シャワー必至のラインなので、暑くなるのを待っていたが、10日には近畿地方も

梅雨入りするとの天気予報を聞いて、居ても立っていられず、9日に訪れることになった。

 

 

北又谷大滝。

 

 

 

 前夜発し、紀伊長島へ。道の駅マンボウで仮眠をとっていると、

パトカーがやってきて、色々と質問を受けた。こういうことやっていると、いいも悪いも

色々と警察のお世話になる。「気を付けてねー!」と言って、去って行った。

 

 少し寝過ごして、道の駅から宮川第一発電所へ向かう。駐車地を出発したのは、6時前。

林道~仕事道を経て、大滝前に到着したのは、7時。すっかり汗だくになって、シャワクラ大歓迎!

 朝飯を食べた後、登攀の準備をしようとしたら、ハーネスが変なことになっていて、

あーだこーだ、コージとしていたので、登攀開始したのは8時前だった。

 

 

1ピッチ目。

 

 

1ピッチ目は私のリードで。右岸のフェイスに取り付く。

簡単だと思ったが、細かく、岩質が脆いので意外と悪かった。大テラスでピッチを切る。

 

 

2ピッチ目。

 

 

 2ピッチ目以降は、コージのリードで。

大テラスからバンドを伝って水流をトラバースする。右岸にカンテ状に張り出した岩があり、

それと水流との間を形成するコーナーを登って行く。カンテ上のテラスに上がるまで、

ずっとシャワーを浴び続ける。この時には太陽は雲の中に隠れてしまっていて、寒かった。

 

 

3ピッチ目。

 

 

 

 3ピッチ目は、下から見ていてラインがどうなるか?読めなかった。行って見なくちゃ分からない。

テラスから一段上のバンドにあがり、そこから水流側へトラバースし見に行くが、全然無理ということで

引き返す。今度はバンドから草付きを数メートル上昇。コージに言わせると、ここからが一番の核心だった

そうだが、草付からヌメッたスラブをトラバースし、大滝下段の頭に出る。

色々探ってもホールドは皆無で、草付を持って、ヌメッた非常に細かいスタンスで踏み替えることになる。

支点もプアーだ。

 

 

4ピッチ目。

クラックを利用し、

ハングを突破!

 

 

4tピッチ目。

さらに快適なスラブへ。

 

 

 

 さて、4ピッチ目は当初はシャワーのラインを考えていたが寒いので、何とか避けられないかと、

左岸側に突破口を探ることになったが、これが登攀を更に面白くした。

水流の右側、つまり左岸側は被っているが、テラスから一段バンドを上がってみると、

フレークがあり、そこにクラックが入っていた。クラックにカムを利かせ、アブミを掛けて上昇し、

更にハーケンを決める。そこで、コージは色々と探っている。やがて、「行ってみるわ!」という

声を掛けてコージの姿が見えなくなってしまった・・・・しかし、そこからは順調にザイルが伸びて

いっているので、核心は突破したのだろう。ハングを乗り越すと、快適なスラブが広がっていた。

 

 

4ピッチ目。

 

 

 

 4ピッチ目は完登が目に見えたフィナーレを飾るピッチ。

左岸スラブを更に登り、水流を登って大滝頭にでる。頭で二人落ち合い、握手を交わす。

下山は右岸の巻き道を伝って、滝下に出た。

 

 昨年三月に目にした時に登攀の可能性を感じたが、登って見ると、意外と難しく、

内容ある登攀になった。フリー的なムーブを要求される細かいフェースもあれば、

シャワー全開のステミング、また、ぷちぷち千切れる草付に、ヌメったスラブ。

そして、クラック・クライミング・・・・。大滝フリークにお勧めの一本を開拓できたと思う。

 

 登ったという話を聞いていないので、きっと私たちが初登ということになるだろう。

未踏の滝に取り付き、指先から足先まで、全身でその滝のただ中に入り込み、

自分たちの感性で感じ取り、ラインを見出すというのが、初登の醍醐味だ。

台高の山中で、このクラスの大滝がまだ未踏に残されていたことを、幸運に思う。

 

コージのブロク↓

https://ameblo.jp/ryuunohana0203/