いつもありがとうございます。


このブログ初の「カプセルプラレール」です。

この「カププラ」は1999年に株式会社ユージン(2008年以降はタカラトミーアーツ)が販売開始したカプセルトイです。プラレールをガチャサイズに小型化、ゼンマイ駆動としたものです。集めていなくても一度は見たことがあると思います。

カププラでのきかんしゃトーマスシリーズは2000年に開始されました。基本的な日本型では「本家プラレールで製品化された車両しか作らない」ようですが、トーマスではそのような縛りは無いようです。そのため現在日本では製品化車両数が最多となっており、「トーマス集めるならカププラ」も過言ではありません。


今回が初回となりますが、敢えて狭軌線から進めます。というのも、最近再生産があり一斉に揃ったからです。




スカーロイ鉄道とは

原作絵本「汽車のえほん」第10巻(人形劇「きかんしゃトーマス」では第4期)から登場する、軌間686mmの狭軌線。

ウェールズ西海岸のタリスリン鉄道がモデル。

スカーロイ鉄道の各機関車はタリスリン鉄道の機関車とリンクしている。両鉄道は併存しており、機関車同士が出会うことや出張することがある。


路線は以下の通り。本線と環状線は原作汽車のえほんに登場。その他路線は人形劇・CGIにて追加。

スカーロイ本線:クロバンズ・ゲート~レニアス~(東回り)~スカーロイ

湖畔環状線:スカーロイ~(西回り)~レニアス

ヴィカーズタウン線:レニアス~ヴィカーズタウン(貨)

西ノランビー線:ヴィカーズタウン~西ノランビー港(貨)

ウルフステッド線:レニアス~ブルー・マウンテン~ウルフステッド城

路線図はこちら。

https://ttte.fandom.com/wiki/Island_of_Sodor_(T%26F)/Gallery?file=TVSeriesSodorMap2014.jpg

(この地図を印刷などすると便利です。)



まずは原作汽車のえほんに登場、人形劇では第4期より登場する機関車です。

※ラスティー、ビクター、ミリー以外は2022年ロットを使用しています。車体がかなり傾いている個体がありますが、原因と対処法は色々探ろうと思います。



1号機 スカーロイ

(モデル機 タリスリン鉄道1号機 タリスリン)

1864年 フレッチャー・ジェニングス製

1865年5月 スカーロイ鉄道開業

1867年 機関室屋根と従輪追加(メーカー施工)

1897年 検査のためメーカー入場

~1901年? ソドー&メインランド鉄道線(標準軌)の機関車不足のため、

                 本機を台車に載せ機関車として使用

1952年 検査のため運用離脱

1955年 第10巻「四だいの小さな機関車」にて初登場

1957年 ギボンズブラザーズ入場

1958年 出場

1964年 製造100年

1985年 クロバンズ・ゲート工場(北西部鉄道)に入場 5月出場

2014年 製造150年


フレッチャー・ジェニングスにて、タリスリン鉄道とスカーロイ鉄道向けに製造された4両のうち1両です。タリスリン鉄道の「タリスリン」と同じサドルタンク機です。

タリスリンとは2度のメーカー入場で必ず再会したようです。同型ですし同時に検査すれば両者とも安く済むのでしょうか。


登場時は縦揺れが大きく、汽車のえほんでは支配人が転落する事故がありました。

その後振動を抑えるため従輪を付けましたが、首を振る構造ではなく曲線に弱くなります。そこで曲線部の軌間を686mm+13mmとし、どうにか走るようにしました。(スラックという。日本のような1067mm軌間なら13mm以上は要るが、本来686mmではそこまで要らないはず。)

後に従輪の首を振る構造に変更し、軌間も元に戻しました。


車歴を読むと、軌間686mmの機関車なのに2倍以上の軌間1435mmの線を走ったことがわかります。どうやらこういうことだそうです。なおこいつの真偽は不明です。





2号機 レニアス

(モデル機 タリスリン鉄道2号機 ドルゴッホ)

1865年 フレッチャー・ジェニングス製

1867年以降 機関室屋根設置(スカーロイのあと)

1937年 クロバンズ・ゲート工場(北西部鉄道)に入場

1943年 クロバンズ・ゲート工場(北西部鉄道)に入場

1952年 検査のためメーカー入場

1955年 第10巻「四だいの小さな機関車」にて初登場

1961年 出場

1964年 製造100年

2002年 クロバンズ・ゲート工場(北西部鉄道)に入場

2014年 製造150年


フレッチャー・ジェニングス製4両のうちの1両です。タリスリン鉄道の「ドルゴッホ」と同じくウェルタンクです。

スカーロイと異なり大規模検査はソドー島内で実施していました。そのためドルゴッホと再会したのは、1950年代のメーカー入場時のみでした。

こちらは登場時水平の振動があり、バネを改造しました。





3号機 サー・ハンデル

(モデル機 タリスリン鉄道3号機 サー•ハイドン)

1904年 ファルコン製

              ミッド・ソドー鉄道3号機 ファルコン

1910年 メーカー入場 従輪追加

1947年 ミッド・ソドー鉄道廃線

              ソドーアルミニウム工場へ譲渡

              工場拡張工事に使用

1951年 工事終了 休車

1952年 スカーロイ鉄道へ譲渡 3号機

              改称 サー・ハンデル

1955年 第10巻「四だいの小さな機関車」にて初登場

1982年 タリスリン鉄道へ貸出

1984年 返却

2004年 製造100年


「ファルコン」とは、メーカーのファルコン工場(現 ブラッシュトラクション)から取られました。

「サー・ハンデル」とは、1950年までのスカーロイ鉄道の所有者ハンデル・ブラウン1世から取られました。


ミッド・ソドー鉄道というものが出てきました。重要なワードですので軽く説明します。

ソドー島西部のアールズバーグと中央部のキングオリーズブリッジを結ぶ狭軌線(軌間686mm)です。1872年開業、モータリゼーションと災害により1947年に廃線となりました。

その後バラストの採石のため、1967年に廃線跡の一部を利用し、島内3社(北西部鉄道、スカーロイ鉄道、カルディー・フェル登山鉄道)が出資するアールズデール鉄道(軌間381mm)が開業しました。


そんなミッド・ソドー鉄道の最終メンバー3両中の1両でした。

登場時〜スカーロイ鉄道譲渡直後では連結器が異なります。(これの名称がわかりません…。フックともう一つパーツがあります。)

第14巻ではバッファーが追加されます。この際端梁が形状変更(貼り重ね?)されています。中央下部が丸く下がっているのがそれです。

第17巻以降は一般的なねじ式連結器になりました。


タリスリン鉄道に来た当初、脱線が頻発しました。それもそのはず、先述通り1号機(タリスリン)のために軌間を広げたからです。

軌間が広がって脱線するのは汽車のえほんにもありましたね。

あんなに従輪を自慢してくる割に、人形劇の模型だとしょぼく見えるとか言わないであげてください。


1982〜84年にタリスリン鉄道に貸出されています。これはタリスリン鉄道の起死回生策で、サー•ハイドンをサー•ハンデル仕様にし、コラボイベントを実施したことが由来です。日本の大井川鐵道と似たようなものです。




4号機 ピーター•サム

(モデル機 タリスリン鉄道4号機 エドワード•トーマス)

1920年 カー•スチュアート製

            ミッド•ソドー鉄道4号機 スチュアート

1947年 ミッド・ソドー鉄道廃線

              ソドーアルミニウム工場へ譲渡

              工場拡張工事に使用

1951年 工事終了 休車

1952年 スカーロイ鉄道へ譲渡 4号機

              改称 ピーター•サム

1955年 第10巻「四だいの小さな機関車」にて

              初登場

1961年 ギースルエジェクタ煙突化

1988年 タリスリン鉄道へ貸出

2000年 返却

2020年 製造100年


「スチュアート」とは、メーカーのカー・スチュアートから取られました。

「ピーター・サム」とは、1980年までの重役のピーター・サム氏(ほっそり重役)から取られました。


スカーロイ鉄道に来るまでの経歴はファルコンと同様です。


1961年に煙突交換をしています。ギースルエジェクタといい、正面から見ると細長く、側面から見ると上に向かって広がる台形をしています。

1958年に貨車との衝突事故(貨車が積載状態でインクラインを落ちてきたため大規模)の際に損傷。それが災いし、1961年に氷柱に衝突し煙突が外れてしまいます。その日は線路の脇に落ちていた配水管を付け運用に就いていました。そして上述のようにギースルエジェクタとなりました。


カププラとしては過去製品では煙突の交換が可能でした。煙突が2本入っておりました。

2022年ロットではギースルエジェクタに固定されています。



5号機 ラスティー

(モデル機 タリスリン鉄道5号機 ミッドランダー)

1957年 ラストン&ホーンズビー製

1959年 第14巻「小さなふるい機関車」にて

              初登場


「ラスティー」とは、メーカー名のもじりです。


スカーロイ鉄道では初の新車の機関車です。

車歴としては何の動きもありません。ただし人形劇とCGIでは大人の事情で細部が少しずつ変わってきました。


一方タリスリン鉄道の実車のほうは、1980年に機関更新を受け車体形状が変わっています。



6号機 ダンカン 

(モデル機 タリスリン鉄道6号機 ダグラス)

1928年 アンドリュー・バークレー製 E形

              軌間610mm

              スコットランドの工場で使用

1958年 譲渡 スカーロイ鉄道 6号機 ダンカン

              改軌 610mm→686mm

1959年 第14巻「小さなふるい機関車」にて

              初登場

2005年 タリスリン鉄道へ貸出


スコットランドから譲渡された機関車です。

タリスリン鉄道のモデル機同様、譲渡時に改軌されています。

譲渡された当初は軌道の状態が悪く、まるでロックンロールのように揺れ、ときには脱線することもあったようです。その後軌道が改良され、走りも安定するようになったようです。



ミッド•ソドー鉄道1号機 デューク

(モデル機 フェスティニオグ鉄道2号機 プリンス)

1879年 ボストンロッジ製

1880年 ミッド•ソドー鉄道開業

1947年 ミッド•ソドー鉄道廃線

            本機は譲渡先が見つからず庫内放置

1969年 愛好家により発見

            スカーロイ鉄道にて復元

1970年 第25巻「きえた機関車」にて初登場

1979年 製造100年



「デューク」とは公爵です。ソドー島で公爵といえば、例えばCGIシリーズに登場するロバート•ノランビー伯爵がそうです。

ただしデュークはCGIには登場しないので共演はしていません。


実車はスモールイングランド形といって、フェスティニオグ鉄道に複数機が導入されました。日本の某鉄道模型メーカーが製品化しており、見たことがある方も多いでしょう。


フェスティニオグ鉄道、直通先のウェルシュ•ハイランド鉄道は軌間597mmです。タリスリン鉄道は686mmですので、イベントでのタリスリン出張時には数十メートルほど専用の線路を敷設しました。

デュークや今後登場する597mm軌間の罐がモデルの機関車は、恐らく新製時に686mmとして設計変更したのでしょうか。


ところで作中では(元ミッド・ソドーのサー・ハンデル、ピーター・サム視点で)古い機関車という印象です。

しかしスカーロイ鉄道ではスカーロイ、レニアスの方が年上ながらデュークより若く見えるため、ミッド・ソドー3機は戸惑ったのではないでしょうか。


カププラとしては2022年ロットが久々の生産です。が、車体がかなり傾いています。



原作汽車のえほん、人形劇前期登場分は以上です。

これより人形劇後期、およびCGIシリーズの追加車両になります。なおこれより先、公式による年代等明確な設定はありません。製造年はモデル機のものを引用しています。



(マイティ)

(マック)


スカーロイ鉄道 マイティマック

(モデル機 ウェルシュ・ハイランド鉄道ダブルフェアリー形 マーディン•エムリーズ)

1879年 ボストンロッジ製


人形劇後期の第9期~12期に登場します。

日本ではあまり馴染みのない双合機関車(ダブルフェアリー式機関車)というものです。

両エンドにそれぞれ人格があります。互いに引っ張り合うこともありますが、そもそも双合機関車の駆動はどのようなものなのでしょう。火室はひとつ、ボイラーはふたつとのことですが。

なお番号は付いていません。理由はわかりません。


なおこれ以前にも双合機関車を登場する予定があったそうですが、そちらが両端で違う人格だったのかは不明です。



カププラでは2両を1両に固定した形です。すべての車輪が1直線に並ぶため、曲線が走れない直線番長です。

現行レールなら車輪の横動域を広げると行けそうですが、過去のレールでは不可能でしょう。なおこの方法ではロッドは追加できません。

台車ごとに首を振らせるようにできれば最高でしょう。ロッドは他のディテールと干渉しそうですが。工作派の方の作例をお待ちしてます。


(本家プラレールでは前者の方法で製品化しました。動力は客車にある“ユーレイ”方式です。台枠の中心に軸があり、マイティとマックを入れ換えられます。)





スカーロイ鉄道 7号機 フレディー

(モデル機 ウェルシュ・ハイランド鉄道 ラッセル)

1906年 ハンスレット製


人形劇後期の第10期から12期に登場します。

原作汽車のえほんには7号機として「アイボ・ヒュー」という1990年代新製の機関車が登場しますが、人形劇では形だけ似ているこの機関車になりました。

マイティマックを飛ばして似たような機関車に同じ番号を付番、原作リスペクト?


デュークに代わるおじいちゃんキャラが欲しかったのでしょうが、製造年はサー・ハンデルと変わりないですね…。しかもなかなか暴れ回る機関車。原作リスペクトとは。

しかもCGIシリーズではクビに。




(現行)

(登場時)


北西部鉄道クロバンズ・ゲート工場 ビクター

(モデル機 キューバ砂糖産業省 1173)


1915年 ボールドウィン製

              マヌエルデセスペデス製糖工場


CGI最初の作品、長編第4作「伝説の英雄」から登場する、工場内の機関車です。


長編第7作「ブルーマウンテンの謎」では来島時の様子が描かれました。後述のルークと共に海上輸送されましたが、陸揚げの際に接触し海中転落する事故がありました。

クロバンズ・ゲート工場で修理を受け、塗装が黄色から赤に変わりました。


実車のキューバの1173号機は1993年に引退、2012年より静態保存されているそうです。

また実車は軌間1435mmのようです。


しかしスカーロイ鉄道と工場内では686mmです。ちょっと何言ってるかわかりませんね。



スカーロイ鉄道 22号機 ルーク

(モデル機 レイトンバザード鉄道9号機 ピーターパン)

1922年 カー・スチュアート製


CGIシリーズでスカーロイ鉄道初登場となる長編第7作「ブルーマウンテンの謎」から登場します。

アイルランドからソドー島に来ました。

前述の通りビクターと共に海上輸送されました。陸揚げの際にビクターが転落したのは自身のせいだと思い込み、追放を恐れ、山奥の採石場に長い間身を潜めていました。

(スカーロイ鉄道のトップも認知していなかった様子。知っていたのは採石場の作業員、機関車、乗務員くらいでしょうか。

マニアの多いであろうソドー島でここまでバレなかったのは、そもそも行く手段が無かったからでしょうか。見学会は無さそうですし。)

後にビクターと再会、スカーロイ鉄道入りを果たしました。


なお実車の軌間は610mmです。


下回りは一見ロッドが付きそうな余裕がありますが、キャブの裾が邪魔しています。




ウルフステッド城内鉄道 ミリー

(モデル機 シャンテレーヌ鉄道13号機 タバマール)

1911年 ドコービル製(フランス)


長編第8作「キング・オブ・ザ・レイルウェイ トーマスと失われた王冠」から登場します。

ロバート・ノランビー伯爵が購入しウルフステッド城に配置されたものの、伯爵が帰ってくるまで長い間使われていなかったとのこと。しかも島民や機関車にはこれまで知られていなかったようです。


実車の軌間は600mmです。

なお1995年、海を渡りフェスティニオグ鉄道に来たことがあります。こちらは軌間597mmで僅かに狭いのですが、どうやって走ったのでしょう。



以上、こうざん鉄道ことスカーロイ鉄道の機関車たちでした。

カプセルプラレールでは、トーマスシリーズの100弾を迎え、こういったまとまった再生産「ともだち図鑑編」を企画しています。

ネット通販ならコンプリートセットがありますし、楽に手には入るのでおすすめです。