そもそも怒りの矛先が間違ってると思います。

さて皆様こんにちは。

法律家なんぞをしているとあらゆる法律に明るいと思われ、あれやこれやと聞かれることも多いのもので、そのたびに色々調べて回答している状況ですが、その中でも特に小生が苦手としているのが会計や税金に関わる部分。
ここを聞かれると時間があるときは調べたりもするのですが、依頼者への返答期限等を勘案して非効率的になると判断した場合(大概は非効率的なんですけどね)、通常その手の専門家(会計士さんや税理士さん、会社の経理の方)に丸投げしてしまいます。

【餅は餅屋】ってやつですね。

しかし、薄識は罪とまでは言いませんが、時に知識のないことが自身にとって大きなダメージを与えることもあるというお話をさせていただきます。

近日のニュースで八王子の自動車学校が経営破綻し、受講生などが喚き散らしている場面をテレビやインターネットなどでご覧になったかたも多いかと思います。
このように言ったらつめたい人間と思われるかもしれませんが、受講生の皆さんが怒号をあげていることが理解できません。
払い込んだ受講料がパーになることの腹立ちは理解できますが、あのように怒り散らしたところで状況は何ら変化するものではないのです。

そもそも経営破たんというのは経営の失敗であり、経営の失敗というのは言い換えれば企業や経営者に『市場からの撤退』というペナルティを与えられるものであるともいえます。
しかし、この経営破たんというものは時に犯罪のように扱われる場面が多いですが、そんなわけはありません。
どんな経営者でも、自分の会社を大きくしたい、できるだけ長く営業を継続させたい、と思うはずで、わざと倒産させる人はいないはずです。もちろん、詐欺的に計画倒産を画策する人間はいるでしょうが、それはそれ自体犯罪ですからここでは論外とします。

それでは何故この八王子自動車学校やちょっと前のNOVAの破綻時などで、違法要素を含まない(あくまでも経営破たんという事実に対してです。)にも関わらず経営者はあたかも犯罪者かのような扱いを受けるのでしょうか?
あえて厳しい言い方をするならば、
消費者たる我々の会計的感覚の欠如
が要因と考えられます。

自動車教習所のような業種の場合、受講料は一括支払いというケースがほとんどだと思いますが、それを支払うことによるリスクを考えているかたはどれほどいるのでしょうか?
消費者は講習料を支払うことにより、講習を受ける権利といういわゆる債権を取得することになります。
しかし、如何なる債権も絶対的なものではなく、常に貸し倒れリスクが存在することも理解しなくてはなりません。
もちろん、一般消費者である個人にそのリスクをすべて負わせるのは、取引における力関係から言って公平性を欠くという考え方があって、そのために消費者が保護される(そのリスクが事業者側に転嫁される)制度がありますが、リスクの存在を正しく認識することと、そういった消費者保護行政とは、本来別物であることを肝に銘じておく必要があります。

さてここまで読んで小生の言いたいことはご理解いただけたでしょうか?

こういった事例は自動車教習だけではなく、我々の身近にも多く存在しているんです。
継続的な役務(サービス)を受ける権利を相当対価の一括支払いにより得る業種は他にもたくさんあります。
高額なところでいうと英会話教室資格学校美容エステなんかも典型例ですね。
もちろんサービス提供とは違いますが、より身近なところで言うとコーヒーショップなどの回数券なども考えられます。

これらのほとんどは一括前払い割引サービスなどのオプションがつき、お得感を前面に出した商品が多いともいます。
小生自身、『割引』という言葉が大好きですし、ほとんどの方が自分は得をしたいと考えていると思いますが、このようなご時世ですし、目先の利益の裏にはどの様なリスクが発生しているのか、少し冷静になって考えてみるようにすることをお勧めいたします。

『自分を守るものは自分だけ』

あながち間違ってないと思いますよ。