こんにちは、ほたるです。


前回の続きです。


リハビリから戻ると看護師がやって来て、夕方先生が来るので、部屋で待つように言われました。

どうせ、いつものように遅いでしょうから、トイレに行ってと。

用を済ませて、トイレのドアを開けると、Dr.Greenが部屋の前に立ってます。

その背中に向かって「先生、私ならここにいます」

と声をかけました。

「じゃあ、ICやろうか、歩き方、見せて」

先生の前を歩くと「なんかいい感じだね。これなら杖なしでもいいね」

なしでいい?ま、何となく、そう感じてはいたけどね。偉そう。

2022年3月、手術ですねーと、あるクリニックで言われてから、情報収集を山ほどしていました。

不安を消すために、かつ現実逃避をするために。

その中で、病院のPR動画がいくつかありました。

術後10日目だったか、1週間だったか、忘れましたが、杖なしで歩く女性のビデオを見つけ、こんなのウソだろー!病院のPRのためのやらせではと疑うほどでした。嘘ではなかったのですね。


生意気だけど、自分の感覚で、杖なしでもよいのではと思っていたところで、杖なしでもいけんじゃ…と言われて、あのビデオは嘘ではなかったのか。

もちろん、みんながみんなではないのだろうけど、疑ってごめん。


IC室に入り、レントゲン写真と採血の結果を先生見る。

口止めされていたので、今、知りましたという演技をした。するほどでもなかったですが。

問題なしでした。炎症値についても、指摘なし。

患者さんの多くは、若干高めで退院するらしいです。

「明日、退院だね」と先生。

私は深くお辞儀をしました。

「先生、ありがとうございました」

今日の先生は、顔色がよくて、ニコニコ。

「先生、顔色いいですね」

「そうかな?ホント?もうリポD2本飲んじゃったよ。眠くって」

いやいや、そんなことないです。

顔見れば、わかる。だって、2022年4月からの付き合いだもの。大体のことはわかる。どこまでだ?


「先生、ありがとうございました」と、もう一度、頭を下げました。

「ひとつ、聞いていいですか?オペ直後、部屋に戻ってきたら、前回お世話になった看護師が顔を見に来てくれたんですけど、それって先生の指示ですか」

「そんなことしないよ。そんなことしたら、職権濫用になっちゃうよ。しない、しない」

と、笑いながら、否定するDr.Green。

だけど、私は知っている。

超ベテランの看護師が、交代時間前に寄ってくれて

、こう言いました。

「どうして、ベッドサイドにみんな来てくれたの?」と聞きましたら、「そういう指示が出てたのよ。手の空いた看護師は、顔を見に行ってやって」

指示がなければ、勝手に持ち場を離れることはできません。

粋な計らいです。

おかしいなと怪訝な顔をした私に「ほたるさん。な

んで、みんな来てくれたと思う?」と尋ねたDr.Green。

なんでだ?と、首をかしげると「それは、ほたるさんがいい人だからだよ」

思わず涙がこぼれました。

先生は、患者に泣かれるのが苦手なんですが、涙が止まらない。

前回、入院中、小さいことから大きいことまで、お願いや苦情をたくさんしたし、意見箱にも何通も投書したし、発作を繰り返しては、夜間帯に何度もステーションに居させてもらって、手のかかる患者だったのに。

「ほたるさんがいい人だから、来てくれたんだよ」

先生は繰り返しました。

いい人かどうかは自信ないけど、その時、やれることはすべてやった。それだけは言える。


「頑張った自分を褒めて上げて。よく頑張った」

「はい。今なら言えます。よく頑張ったねって、言ってあげられます」

止まらない涙を見て、Dr.Greenが「このティッシュ使って。病院のだから、いっぱい使っていいよ。

好きなだけ使っていいよ」

そのセリフ、初診時、聞いたよ。

同じセリフね。変化球ないのと言いたくなりました。

「僕が泣かしているみたいだな。でも、泣くだけ泣いて、その顔じゃあ、病室戻れないでしょ」


涙が落ち着いて「先生、もうひとつ聞いていいですか」「なに?」

「どうして、先生は整形外科医になったの?」

「うーん。なんとなく」なんとなくかーい、それでいいんかーい。

(先生、ウデいいのに。まぁ、前回はやっちゃたけど、許してあげる)

「小児科か内科にしようかなって思った。でも、赤ちゃんは、痛いとか嫌だよって言えないじゃない。

整形外科は結果が出るでしょ。手術して、みんな元気になって、退院していくからね」

やっぱりそうだったんだ、予想の半分は当たっていました。

小児科は予想もしてなかった。先生、子どもが好きなんだな。好きだからこそ、小児科を選ばなかった。


「最後に、もうひとつ」「なんだい?」

「麻酔科の先生との面談で、色々注文しました。全部、叶えてくれました、先生のご指示ですよね」

「あれ?そう?麻酔科の先生って、誰だっけ?」

また、とぼける。

主治医の許可がなければ、麻酔科医だけの判断だけじゃあ、無理でしょうが。


続きます。