progressive?alternative? | a frog in November

a frog in November

11月のかえる

いろいろな理由があって,睡眠時間が前のめりしている.11時まで目を覚ましていることは少ないし,3時過ぎまで全く目を覚まさない,ということもほとんどない.年齢,というのが一番大きな理由だろうが(笑).

それでも,起床は6時と決めているので,それまでは,なんとか過ごす.運良く寝直すこともあるが,ダメなら音楽をiPodで低い音で聴くこともある.全くダメで,録画しておいたドラマをしばらく観ることもあるが.

最近は,明け方近くに,ああ,あの曲が聴きたい,と,老人の懐古趣味みたいなことが多く,枕元のMacのiTunesに必要なのをライブラリーから加えることが多い.

加えるアーチストは,オフコース,アグネス・チャン,アランパーソンズ・プロジェクト...というように,脈絡がない.きっと,目覚める前に偶然発火した神経に突き動かされているのだろう.

けさは,クラフトワークのアウトバーンが聴きたくなった.
ライブラリーに入っていなかったので,CD棚まで出かけたが見当たらない.どこかにしまい忘れたんだろうな.やれやれ.

iTunesのストアにつないでみると,このアルバムがリマスターされ,900円で売っていた.CDの半額以下なので,と自己弁護をしながら購入しようとして,ふと表示されている分類を見たら,クラフトワークはオルタナティヴとなっていた.いつからここに分類されるようになったんだ?

クラフトワークはいまだに活動しているドイツのグループだが,メジャーになったのは1970代で,当時はプログレッシブ・ロックに分類されていた.プログレッシブというのは,1960年代の分かりやすいポップなロックより進んだ,という意味で,大作主義,ムーグシンセサイザーに代表される電子楽器の大幅な導入,難解な歌詞,などを特徴としていた.ピンク・フロイド,キング・クリムゾン,イエス,エマーソン・レイク&パーマーなどのイギリスのバンドが多かったが,イタリアにもPFMなんてのがいたし,ドイツではクラフトワークとタンジェリン・ドリームが有名だった.

クラフトワークもタンジェリン・ドリームもシンセサイザーのみに近い,いかにも技術立国ドイツといったアルバムをこしらえていたが,曲想はかなり違っていた.タンジェリン・ドリームはピンク・フロイドの分かりにくいのをシンセサイザーのみでもっと難解にした感じで,想像力をかき立てるというか,想像力がないと聴けないような曲を作っていた.一方のクラフトワークはなんかやる気があるのかないのか分からないようなシンプルな描写音楽を作っていて,終止クルマで走り続ける様子を曲にしたアウトバーンはその代表だった.
当時は,クラフトワークはロック・ファンからまともに相手にされていなかったが,1980年代に入りテクノなどのダンサブルなポップ(日本で言うとYMOね)が流行ると,その先駆者として急速にその信者は増えて行った.一方のタンジェリン・ドリームはこの波には乗れず,いつしか忘れられて行った(まだ,バンドとしてはあるらしいけど).

オルタナティブというのは1980年代のポップ調の反動から生まれた,メジャーでないその他のロック,という意味で付けられたらしい.クラフトワークは結局ここまで生き残ったので,若い世代はこちらに分類するようだ.

1970年代,上記2つのグループはジャーマン・ロックとひとくくりにされていたが,タンジェリン・ドリームはドイツでも旧態然としていたベルリンあたりで活動していたようで,それなりの叙情性はそのためらしい.一方の体がガソリンか電気で動いているようなクラフトワークは工業都市デュッセルドルフで構築されたそうで,最初からエレクトリックでポップで斬新なところを狙っていたらしい.同じドイツでもルーツは千昌夫と坂本龍一くらい違っていたのだ.

というようなのを,日本語と英語と部分的にドイツ語のWikiを参考に書いてみた.

うーん,でもな,1980年代の完全テクノ化以降のクラフトワークは聴かないかな.
やっぱり,クラブシーンで聴きながら踊るような人間にはなりたくなかったし,ならなくてよかったと思っている.

盆踊りじゃないんだぜ.