日常に潜む恐怖 | 「賛否両論 笠原将弘のオールナイトニッポン」オフィシャルブログ by Ameba

日常に潜む恐怖

先日出演した男子食堂TVの収録。担当の編集者は増山君。彼はモヒカンみたいな髪形にヒゲ面、
ダボダボのジーンズ、ワイルドな風貌だが真面目な男だ。本番前、ご飯を炊いておいてくれと僕は指示した。増山はキッチンスタジオ内を、がさがさ何かを探し始めた。前かがみで戸棚の中に頭を突っ込んでいるので、腰履きのジーンズがずり下がり、殆ど尻が見えている。ピンクのストライプのパンツも気持ち悪い。
増山ちゃん!!何探してんだよ!!
僕はなるべく尻を見ないようにして聞いた。
笠原さん!計量カップが無いっす!!僕、計量カップ無いと、米炊けないっす!
増山は汗だくで言った。
適当なコップとかでいいじゃんかよ!
僕はイラッとして言ったら。
ダメです、計量カップじゃないと不安です!
ワイルドな風貌のくせに増山は臆病だ。その後さんざん探したが、計量カップは出て来なかった。
本番直前、増山がセットした調理台の上を見ると、計量カップに箸やスプーンが立ててあった。
恐るべき増山。

収録が終わり帰り道。
前から若いサラリーマン風の男性が歩いて来た。
男性は携帯電話をいじりながら、前方を全く見ずに歩いている。危ないな、大丈夫かなと思って見ていると、おもいっきり郵便ポストに激突した。
男性はよろめきながらもポストに向かって
すっ、すいません!!
あやまっていた。その後何も無かったかのように、携帯電話をいじりながら歩いて行った。
微かに顔がにやけていた。よっぽど嬉しいメールでも来たのだろうか?
恐ろしい。

昼御飯にラーメン屋に入った。混んでいたので、サラリーマン2人組と相席になった。
前の2人組には、つけめんと担々麺が運ばれて来た。担々麺が旨そうだったので僕も担々麺を注文した。
2人組はいきおい良く麺をすすり出した。
しばらくすると、つけめんの男性がいきなりのけ反った。
うわっ!!目が辛いっ!!
男性は片目を押さえて苦しんでいる。
どうした!?大丈夫か?
担々麺の男性が心配そうに立ち上がった。
お前の担々麺の汁が目に飛んだんだよ!!勢い良くすすり過ぎだ!!
つけめん男は片目を真っ赤にしながら怒っている。
僕は笑いを噛み殺した。
はい~。担々麺おまちどおさま!!
そこにタイミング悪く、僕の担々麺が運ばれて来た。2人組は僕の担々麺を二度見した。
なんとなく気まずい空気がテーブルに流れた。
食事が再開されたが、勢い良く麺をすすってはいけない雰囲気になり、僕は上品に麺をすするしかなかった。
そのうち、汗かきな僕は辛さで汗だくになってきた。前の担々麺男も汗だくになっている。
テーブルの上に置いてあるティッシュに、担々麺男は手を伸ばした。その時、顔の汗がつけめん男のスープに、ポトリと垂れた。
ああ~!お前、俺のスープに汗垂らすんじゃねぇよ!!つけめん男はまた怒り出した。
僕は笑いを噛み殺した。
担々麺男は申し訳なさそうにティッシュで汗を拭いていた。僕も汗を拭きたかったが、つけめん男が恐いので、ティッシュに手を伸ばせなかった。2人が帰ったら汗を拭こうと思っていたら、担々麺男がティッシュを使い切ってしまった。
2人が帰った後、片付けに来たお姉さんが散乱したティッシュを見て、汗だくな僕をちら見した。
完全に濡れ衣だ。恐ろしい。
店を出て歩いていると、前方からママチャリに乗った男が、ニヤニヤしながら走ってくる、黒ラベル白井だった。
ウヒウヒ!!久しぶりです!!ウヒウヒ!!
確かに久しぶりだった。
こないだの、恵比寿の盆踊りはどうだったの?
僕は聞いた。黒ラベル白井はビールの屋台を担当していたらしい。
ウヒウヒ!!大丈夫でしたよ、盛り上がりましたよ!!
どしゃ降りでしたけど、ウヒウヒ!!
大丈夫じゃないじゃん!
僕は心の中で突っ込んだ。黒ラベル白井はママチャリで去って行った。
恐るべし白井 。