やけに会う日。

先日の出勤前、恵比寿駅でお腹の調子が悪くなった。あいにく駅のトイレは満員だった。
しょうがない、賛否両論まで我慢しよう。普通に行けば約10分の道のりだ、それくらい大丈夫。
僕はてくてく歩き出した。最初の信号で1人目の刺客が現れた。
あー！笠原さん！
振り向くと近所のバールで働いてるまきこちゃんが、笠原さんアバター見ました？
何でこのタイミングでアバターなんだ？
いや、見てない、じゃあね！
いつもなら立ち話するのだが、さっさと僕は歩き出した。しばらく歩いたところで、向こうから、こんやの山ちゃんがママチャリでやって来た。
笠原さーん！バイク故障しちゃったんですよー。嫁さんと2人乗りできなくて、寂しくて、寂しくて。
山ちゃん、今のろけなくてもいいじゃん！
あれ、笠原さん凄い汗ですよ。
山ちゃんのせいで興奮しちゃったよ、じゃあね。
僕はまたさっさと歩き出した。ヤバイ、かなり腹が来てる!!
歩き方が競歩みたいになってきた。すると前から、なすび亭、ミ酒乱吉岡が!!
ヤバイ、絶対に話が長くなる。僕はとっさに、自動販売機の陰に隠れた。
何で友達相手に隠れなきゃいけないんだ、しかも悪いことした訳でもないのに。ミ酒乱吉岡は、布袋さんのサレンダーを口ずさみながら通りすぎて行った。
急がないと腹が限界だ、もう少しで賛否両論だ。さらに競歩みたいになり、汗だくで進むと、
笠原さん、おはようっす!!嫌な声が聞こえた。見ると近所のバーのマスター、スキンヘッド林が近づいて来た。
笠原さん、美味いパン屋見つけましたよ、ハハハ！
全くパンが似合わない顔して林が笑った。もう人にかまっている余裕が僕にはなかった。目を反らして僕は林をスルーした。
笠原さーん、このブリオッシュ最高なんすよ。
林の声を背に僕は、
最後の力を振り絞って賛否両論に到着した。やった、なんとか間に合った。トイレに向かうと、よりによってこんな時にゆうじとひろみつがトイレの大掃除をしていた。
ぎゃー！何で今日に限ってトイレ掃除してんだよ！しかも2人で！
いや、今日あんまり仕込みがなかったんで。
ゆうじがにこりともせずに言った。
だから、お前らはセンスがねえんだよ、早くそこを空けろ！
僕は鬼の形相でトイレに駆け込んだ。
無事終わった。
さっきの自分の態度に反省した。皆さん、本当にごめんね。