セラピーやカウンセリング業界では、一種ブーム、トレンドみたいなものがあって、最近は愛着(アタッチメント)がトレンドになっているといってもいいでしょう。

 

愛着に注目した心理療法が開発され、著作も多くなっています。発達障害も最近は愛着の関係で議論されます。

 

愛着とは、簡単に言うと、「人といっしょにいることで安心する能力」です。普通は愛着は、両親から愛情をうけることで形成されます。

 

この文章を読んでくださっているあなたは、ご両親のどちからかに可愛がられたり、愛されたりした経験がありますか。もしそれがあるならあなたは、親の側にいるだけで安心感を味わったり、ほっとしたりした経験があるはずです。それが愛着です。

 

そうして愛着が形成された人は、その後、両親以外の人といっしょにいて安心感を味わったりできるようになり、その人の心の中に安心基地が形成され、ありのままの自分を認める自尊感情も育ちます。

 

トラウマがある人、虐待を受けていた人には、この愛着=心の安心基地が弱いので、カウンセリングやトラウマ治療では、この安心基地を形成することを最初に目指します。

 

そのためにはまず、カウンセラーとの信頼関係ができ、カウンセラーがその人の愛着の対象となることが必要です。ただし、カウンセラーはあくまで一時的な愛着対象で、その間にトラウマ治療をします。

 

最終的にトラウマを乗り越える中で、カウンセラー以外のだれかを信頼していき、愛着を抱くようになることが大切だと思います。

 

ただ、トラウマに限らず、心理療法の進み方は基本的に、

 

①こころの安心基地をつくる=セラピストとの信頼関係をつくる→家族や親子との関係を見直し家族や親子での信頼関係をとりもどす

②そのあとで心理的葛藤やトラウマに向き合う

 

という順序でしょう。

 

愛着に注目せず、いきなり問題に直面化させたりするのはよくないと思うように私もなりました。

 

私も、最近では、クライエントをみて、この人には心の安心基地があるだろうか、愛着対象がいるだろうかということを考えてみます。もしそれが乏しいのなら、問題に直面する前に心の安心基地をつくるのが先だと思います。