いよいよ6月末の株主総会を睨んでの動きが激しくなってきている。村上ファンドは、阪神電鉄側に経営陣の半数を村上ファンド側の人物に代えることと、不動産事業の分社化などを柱とする株主提案を行った。
それに対して、阪神電鉄経営陣は「このようなことが許されていいのか」と怒りをあらわにしたそうだ。
この事案はライブドア事件の時と同等かそれ以上のインパクトを日本の株式会社に投げかけていると思う。
ライブドアの時はかなり法律の抜け穴を突きまくった手法を駆使し、無理があるなあとの印象を受けたが、今回の村上ファンドの手法は至極まっとうなやり方であり、当然過半数を抑えて株主提案されれば通ってしまうだろう。
下位グループの企業とはいえ、長い歴史を持つ一部上場企業が、一個人(資金の出所は様々だが)に乗っ取られてしまうのだ。今はまだ村上ファンドくらいなものだが、来年株式交換による企業買収が予定通り解禁されれば、間違いなく5年以内に阪神電鉄程度の規模の企業は、相当数が外資の傘下に入ったり、意思決定に必要な程度は資本を抑えられたりしてしまうと思う。つまり今回の騒動はほんの数年後には頻発することであり、世間にそれを知らせるには非常にいいテストケースと言える。
さて、この事案だが、今回は村上ファンド側は30%程度までは非常に華麗に集めたため、経営陣もなかなか手が打てなかったのかも知れないが、買い集めが表沙汰になってからも何ら経営陣が手を打った様子が見られないので、いまさら何だかなあという感じを受けている。
とは言え、村上ファンド側にも焦りが見られると思うのは私だけだろうか。
もちろん今回の提案は阪神経営陣にプレッシャーをかけ、阪急側にも安値じゃ売りませんよというアピールなんだろうけど、今回はあまりに表に出すぎている気がする。
ライブドア騒動の時は、ホリエモンはマスコミに取り上げてもらうのが一つの大きな目的でもあったので、盛んに情報を表に出しまくったのだが、村上ファンドはまったく逆の立場なはずだ。ただでさえ、阪神タイガースに言及してしまったため、一般市民の評判は最悪である。ここでもしさらに混乱の度を深めて印象を悪くすると、今後のビジネスに間違いなく悪影響を及ぼす。以前のように小規模の企業相手であれば表沙汰になることもさほどないのだろうが、今後大手企業相手であれば、イメージの悪化した村上ファンドと手を組もうとするところは減ってしまうはずだからだ。
私的には現時点では村上ファンド側は経営権を握ることはしないと思っている。もちろんいろんな見方があると思うので、あくまで私見でしかないが、その最大の理由は現時点で阪急に売却した方が、時間的、イメージ的、収益的どれをとっても最高だと思うからだ。
現時点で阪急に売却出来れば、わずか1年程度で3、4百億という利益が手に入り、かつイメージの低下も抑えられる。
だが、もしこのまま経営権を手に入れた場合はどうなるだろうか。
時間的な面で見れば、鉄道ビジネスというのは多額の資本投下とそれを回収するのに長い時間が必要なものであり、最も村上ファンドと相容れないものである。ましてや経済のファンダメンタルが低下していく一方である関西圏の一地方路線網しか有さない阪神電鉄ではその見返りは薄い。となると、一発短期で大きな利益を得ようと思ったら、不動産の売却しかないと思う。不動産部門の分社化もこれを睨んでのことだと思う。
しかし、これは非常にリスキーだ。まず、電鉄会社の不動産部門を分社化することは合理性を欠くと思う。それでも分社化を推し進め、短期で利益を得るために売却をしてしまった場合、ずっと株を保有していればいいが、もしその後に短期で株も売り抜けたりしたら、会社に損害を与えたということでお縄を頂戴する可能性も十分に考えられるからだ。
あともう一つは、村上ファンドはあくまで「投機ファンド」であるので、事業会社の経営は出来ないと思う。鉄道会社なんてのは、日本企業の中でも特に歴史が長く、古い体質を持っている。ましてやそこに敵対的に入ってきた人の命令を唯々諾々と受けるなんてことはありえない。
まあ、村上さんも短期売却が主目標なんで、長期に経営するなんてことは想定してないと思うけど。
うーん、それにしてもまた長くなってしまった。多分誰もここまでは読まんだろうなあ。あとこれの5倍くらいは書きたいのだが・・・、あと絞って一つだけ。
今回買収に名乗りを上げている阪急だが、実のところ財務が非常に悪い会社だ。面倒なので最新の数字は追ってないが、四季報によると売上のほぼ倍の有利子負債を抱えており、数年前には減損か何かで大幅な赤字を出したりもしている。今回の買収により財務はより一層痛むことになるが、それでも阪急側にとっては非常に有意義だと思う。鉄道・不動産ビジネスは規模が有無を言ってくるからだ。
とは言え、一つ気がかりなのは、もし買収が成功した場合、数年後には阪神鉄道はその主要路線を廃止される可能性あることだ。そうしないと買収のメリットであるコスト削減が実現出来ない。しかし、元々長年のライバル関係である両者。いざそういう話が出たときはまとまらないだろうなあと思う。関東の人間とは言え、3年間関西にお世話になっただけに気がかりである。
それに対して、阪神電鉄経営陣は「このようなことが許されていいのか」と怒りをあらわにしたそうだ。
この事案はライブドア事件の時と同等かそれ以上のインパクトを日本の株式会社に投げかけていると思う。
ライブドアの時はかなり法律の抜け穴を突きまくった手法を駆使し、無理があるなあとの印象を受けたが、今回の村上ファンドの手法は至極まっとうなやり方であり、当然過半数を抑えて株主提案されれば通ってしまうだろう。
下位グループの企業とはいえ、長い歴史を持つ一部上場企業が、一個人(資金の出所は様々だが)に乗っ取られてしまうのだ。今はまだ村上ファンドくらいなものだが、来年株式交換による企業買収が予定通り解禁されれば、間違いなく5年以内に阪神電鉄程度の規模の企業は、相当数が外資の傘下に入ったり、意思決定に必要な程度は資本を抑えられたりしてしまうと思う。つまり今回の騒動はほんの数年後には頻発することであり、世間にそれを知らせるには非常にいいテストケースと言える。
さて、この事案だが、今回は村上ファンド側は30%程度までは非常に華麗に集めたため、経営陣もなかなか手が打てなかったのかも知れないが、買い集めが表沙汰になってからも何ら経営陣が手を打った様子が見られないので、いまさら何だかなあという感じを受けている。
とは言え、村上ファンド側にも焦りが見られると思うのは私だけだろうか。
もちろん今回の提案は阪神経営陣にプレッシャーをかけ、阪急側にも安値じゃ売りませんよというアピールなんだろうけど、今回はあまりに表に出すぎている気がする。
ライブドア騒動の時は、ホリエモンはマスコミに取り上げてもらうのが一つの大きな目的でもあったので、盛んに情報を表に出しまくったのだが、村上ファンドはまったく逆の立場なはずだ。ただでさえ、阪神タイガースに言及してしまったため、一般市民の評判は最悪である。ここでもしさらに混乱の度を深めて印象を悪くすると、今後のビジネスに間違いなく悪影響を及ぼす。以前のように小規模の企業相手であれば表沙汰になることもさほどないのだろうが、今後大手企業相手であれば、イメージの悪化した村上ファンドと手を組もうとするところは減ってしまうはずだからだ。
私的には現時点では村上ファンド側は経営権を握ることはしないと思っている。もちろんいろんな見方があると思うので、あくまで私見でしかないが、その最大の理由は現時点で阪急に売却した方が、時間的、イメージ的、収益的どれをとっても最高だと思うからだ。
現時点で阪急に売却出来れば、わずか1年程度で3、4百億という利益が手に入り、かつイメージの低下も抑えられる。
だが、もしこのまま経営権を手に入れた場合はどうなるだろうか。
時間的な面で見れば、鉄道ビジネスというのは多額の資本投下とそれを回収するのに長い時間が必要なものであり、最も村上ファンドと相容れないものである。ましてや経済のファンダメンタルが低下していく一方である関西圏の一地方路線網しか有さない阪神電鉄ではその見返りは薄い。となると、一発短期で大きな利益を得ようと思ったら、不動産の売却しかないと思う。不動産部門の分社化もこれを睨んでのことだと思う。
しかし、これは非常にリスキーだ。まず、電鉄会社の不動産部門を分社化することは合理性を欠くと思う。それでも分社化を推し進め、短期で利益を得るために売却をしてしまった場合、ずっと株を保有していればいいが、もしその後に短期で株も売り抜けたりしたら、会社に損害を与えたということでお縄を頂戴する可能性も十分に考えられるからだ。
あともう一つは、村上ファンドはあくまで「投機ファンド」であるので、事業会社の経営は出来ないと思う。鉄道会社なんてのは、日本企業の中でも特に歴史が長く、古い体質を持っている。ましてやそこに敵対的に入ってきた人の命令を唯々諾々と受けるなんてことはありえない。
まあ、村上さんも短期売却が主目標なんで、長期に経営するなんてことは想定してないと思うけど。
うーん、それにしてもまた長くなってしまった。多分誰もここまでは読まんだろうなあ。あとこれの5倍くらいは書きたいのだが・・・、あと絞って一つだけ。
今回買収に名乗りを上げている阪急だが、実のところ財務が非常に悪い会社だ。面倒なので最新の数字は追ってないが、四季報によると売上のほぼ倍の有利子負債を抱えており、数年前には減損か何かで大幅な赤字を出したりもしている。今回の買収により財務はより一層痛むことになるが、それでも阪急側にとっては非常に有意義だと思う。鉄道・不動産ビジネスは規模が有無を言ってくるからだ。
とは言え、一つ気がかりなのは、もし買収が成功した場合、数年後には阪神鉄道はその主要路線を廃止される可能性あることだ。そうしないと買収のメリットであるコスト削減が実現出来ない。しかし、元々長年のライバル関係である両者。いざそういう話が出たときはまとまらないだろうなあと思う。関東の人間とは言え、3年間関西にお世話になっただけに気がかりである。