文庫化したので購入しました。

個人的には「シックスシグマのジャック」のイメージが非常に強かったのですが、この本によると、ほかにもいろいろな呼ばれ方をしていたようですね。
上巻は、会長就任前のウェルチの姿が内容の半分を占めておりました。
企業のトップの自伝というところでは、先日読んだ某CA社長の本に比べ学ぶところも多く、日々の業務にそのまま生かせそうな考え方が盛りだくさんです。

ただ、一つ気がかりなのは、最近僕の会社の人事評価制度が変わり、この本に書かれているのとそっくりな成果主義的評価制度になったのですが、まさかこれをマネしたんじゃないだろうな、と。
もしマネするなら、評価の制度だけでなく、常に経営トップがしつこいぐらいにビジョンを語るという姿勢もマネしてほしいものです。
おそらく、日本全国のたくさんの経営者がこの本を読み、自分にマネできそうなところだけマネをして中途半端な組織改革をしていることが想像できますが、自社がそうならないよう祈りつつ、ヤバそうなら軌道修正できるように常に声を上げていきたいと思っています。(一中間管理職の話をどの程度聞いてもらえるかわかりませんが)

繰り返しますが、この本自体はとても勉強になります。

で、冒頭でも書きましたが、ウェルチの自伝で何を読みたかったかって、シックスシグマのことなわけです。
もともと、品質管理、品質改善は日本のお家芸だったわけで、それをさらに厳密に数値管理したものがシックスシグマであるということですが、GEの改善成果を真似るべくたくさんの企業がシックスシグマを導入しようとして失敗してきました。
クオリティコントロールはただでさえ数値化するのが難しく、その管理コストといったらバカにならないほどだろうに、それをどうやって現場に根付かせたのか、非常に興味があったのです。

で、成功のコツはいったいなんだったのか。

実はこの本、シックスシグマの話にはそれほどページを割いていません。
ただ、シックスシグマに限らず、さまざまな取り組みを全社に浸透させることに成功したポイントは、共通していることに気付かされました。
それは、繰り返し繰り返しシツコイぐらいにトップが自らメッセージを伝えること。
実際にこの本のにも書いてあるとおり、ウェルチは繰り返し繰り返し社員へメッセージを送り続けた。
そんな姿勢は、この本の書き方にも現れている。繰り返し繰り返し、読者へメッセージを送り続けている。
この「しつこいぐらい」に何度も何度も繰り返し目指すところを語る、という姿勢が、シックスシグマに限らずプロジェクトを成功に導き、現場に企業文化を根付かせ、良いスパイラルを増幅させる原動力になっているんだなぁと。


ただ、この本、下巻の後半になってくると力尽きてきたのか、かなり内容が切れ切れで散漫になってくる。そこがマイナスポイントといえるだろう。

(経営とは何か度:★★★★★)

ジャック・ウェルチ, ジョン・A・バーン, 宮本 喜一
ジャック・ウェルチ わが経営(上)

ジャック・ウェルチ, ジョン・A・バーン, 宮本 喜一
ジャック・ウェルチ わが経営(下)