今となっては、やや懐かしい響きにすら感じる「CRM」ですが、その考え方そのものは決して陳腐化するものではないと思います。
CRMの失敗は、運用とコストを考えないシステム設計やフローに主な原因がある場合が多いわけで、CRMという理論そのものの限界や破綻を示すものではありません。
どれだけターゲットを絞って効率的に顧客にアプローチできるかという問題は、ビジネスにおける永遠の課題であり、それに対する方法論としてはCRMは非常に有効な手段と思われます。
この本を読めば、CRMという発想が一時的な流行モノではなく、マーケティングの基本中の基本であることに気づかされることでしょう。

もっとも、この本に書いてある理論はマス・マーケティングの全否定であり、広告代理店の人たちにとっては、自分の効率の良いメシのタネを奪いかねない理論ではありますが。

(理屈ほどは簡単じゃない度:★★★★☆)

村山 徹, 三谷 宏治, アクセンチュア, CRMグループ, 戦略グループ
CRM―顧客はそこにいる