読後感は「ふーん」という感じ。
若い社長の、無頼な10代、がむしゃらな20代前半、どん底の失意を味わう20代後半、幸せな結婚の30歳、そして会社が健全な成長を達成する31歳、といった感じで、面白おかしい要素には満ち溢れています。
ただ、分かりやすい構図にしすぎて、陳腐に見えてしまう。

それにしても、これは本人が書いた文章なんだろうか。
もしゴーストライターが書いたものなら、あまりに文章がお粗末だし、もし本人が書いたものなら、あまりにもナルシスだ。
起業家なんて、ナルシストじゃないと務まらないものなのだろうか。

なお、長年ネット業界にいる身としては、登場する人物一人一人が、実際に会ったことはないのにとても馴染み深く、そういう意味では楽しめた。
価格分の価値があったかといえば、「?」。

ただ、これを読んだ数ヵ月後に著者離婚。
この本を読んでる頃から離婚の噂はあったけど、そういう意味ではこの本はすでに過去の遺物。
仲の良い夫婦を演出している巻末部分が痛々しいね。
このスピード感こそがネットベンチャーの本領か。(苦笑)

(一人よがり度:★★★★★)

藤田 晋
渋谷ではたらく社長の告白