僕は幼い頃から同級生に比べても非常に体が小さく、心配した母が大学病院まで僕を連れて行き、検査まで受けさせたぐらいです。しかも、一度は小人症と診断されました。(再検査で誤診と判明しましたが・・・。)

そんな僕が思春期を迎えたのは80年代後半。
世間では「3高」などというものがモテはやされ、高身長はモテるための必須条件のように言われていた時代です。
何がどうなっても高身長にはなれない自分は、違う土俵で戦うことを決意し、その目指すところとしてマイケル・J・フォックスを設定していたのです。
そう、中学・高校生の頃の僕の目標は、この本の著者であるマイケル・J・フォックスだったのです。

そのマイケルの自伝が文庫化されたのを知り、購入して読んでみました。
世間ではパーキンソン病のことばかり騒ぎ立てますが、僕が最も共感したのは、彼もまた自分の身長の低さに強い劣等感を抱いていたということ。

僕も彼と同じ身長165cm。
僕も彼と同じで、実年齢より2割は幼く見えてしまう外見。
同じ悩みを持っている人が、経済的にも社会的にも成功している姿に勇気付けられる思いです。

おそらく、パーキンソン病の患者達も、彼がカミングアウトしてくれたことを大きな心強さを感じたに違いありません。経済的にも社会的にも成功している人が、自分のごく個人的なものだと思っていた悩みを、同じように抱え、かつ受け止めている姿を見るのは、本当に大きな支えになります。
もちろん、カミングアウトすることができるようになるまで、彼にも大いに紆余曲折があり、それこそがこの本の読みどころです。
あんな明るく楽しい演技の裏に、こんな苦悩が潜んでいたとは。

(ちび度:★★★★★)

マイケル・J・フォックス, 入江 真佐子
ラッキーマン