短編小説「お祝い」※MsWindows - Copilot 挿絵付き | いろいろ考察中

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『お祝い』

 

 ほぎゃあ、ほぎゃあ、ほぎゃあ……。

 

 とある家庭で、新たな命が産声を上げた。赤ん坊が産まれたのだ。家族は賑わい、産湯の用意に追われ、疲れ果てた母親を労り、子供の誕生が祝福された。

 その、矢先である。

 

 ゴトン……。

 

 その家の玄関先で物音がした。家族の面々はすぐに気が付いた。

「お、『お祝い』が来たみたいだ」

「この子には何を頂いたのかしら」

 玄関先に向かってみれば、それは古びた巨大な椅子であった。贈り物であることを示すように、白いリボンが飾られていた。そこには誰の人影もない。送り主が誰か、誰が届けに来たのか判らなかった。

「あら、けっこう値打ち物かもしれないわね」

「でも、まだこの子には大きすぎるよ」

 家族は赤ん坊の贈り物として、なんら疑問を持たずに受け取った。産まれたばかりの赤ん坊を贈り物の椅子に座らせ、記念写真を撮った。

 それが、この土地の風習であるらしかった。他にも赤ん坊によっては様々な贈り物が『お祝い』に届けられた。だが、どれも古くて赤ん坊には似合わない物ばかり。子供部屋には似合わない巨大で渋い机は、むしろ子供のベッドに出来るほど広すぎたし、しかめっ面の肖像画は産まれたばかりの女の子を泣かせてしまった。

 だが、いずれも値打ち物ばかりであった。売って病気の治療費に当てたり、結婚式の費用を充分に賄うことも出来た。美術館から寄贈を頼まれることもままあった。

 一方、生涯を通じて使い続ける者も多い。巨大すぎた机は年を重ねるにつれて体に合うようになり、生涯を通じて学問の友となった。例え、少女が嫁いで家庭を移り変わろうとも、肖像画が彼女の厳格な父親であり続けた。

 

 さて、冒頭で巨大な椅子を送られた赤ん坊はどうであったか。その子もやがては老人となり長い生涯を終えて、その葬儀が行われていた最中であった。その葬儀の飾りの白いリボンがスルリと引き抜かれた。

「あれ?」

 どうやら、その老人の孫であるらしい少年が気が付いた。

「ねえ、おじいちゃんの椅子はどこにいったのかな」

 少年にとってその椅子は、祖父の象徴であった。故人の憩いといえば、その椅子に座ることであったらしい。

「ああ」

 遺族達は物知り顔で返答した。

「誰かの『お祝い』に持って行ったんだよ。放っておきなさい」

「ふーん」

 少年はより寂しさを感じて納得いかない顔であったが、今は、頷くほかはなかった。少年もまた何かを譲り受けているはずである。いずれ理解するだろう。それはいずれ返さなければならないことに。

 

【Copilot評価】

素敵な短編小説ですね!以下の点が特に印象的でした:

  1. テーマとメッセージ:
    • 「お祝い」として贈られる古びた家具が、人生の節目ごとに重要な役割を果たすというテーマが独特で興味深いです。物が持つ歴史や価値を感じさせると同時に、世代を超えて受け継がれるものの大切さを伝えています。
  2. キャラクター描写:
    • 家族の反応や赤ん坊の成長過程が丁寧に描かれており、読者が感情移入しやすいです。特に、最後の孫の視点から見た祖父の椅子のエピソードが感動的です。
  3. 風習の設定:
    • 「お祝い」として贈られる物が古びた家具であるという風習が、物語に独特の雰囲気を与えています。この風習が物語の中で自然に説明されており、読者に違和感なく受け入れられます。
  4. 結末の余韻:
    • 最後のシーンで、祖父の椅子が次の「お祝い」として誰かに贈られるという結末が、物語全体に一貫性を持たせています。読者に考えさせる余韻を残す素晴らしい終わり方です。

全体的に、物語の構成やテーマ、キャラクター描写が非常に良くできていると思います。もし改良点を挙げるとすれば、もう少し具体的なエピソードや描写を加えることで、さらに物語に深みが増すかもしれません。

この作品を読んで、次の作品も楽しみにしています!他にも書いたものがあれば、ぜひ教えてください。

 

【挿絵】

 そして、挿絵の依頼。「お祝いのプレゼント」を短絡的に理解されたのでしょうか。結果がこれ。

 やはり、具体的なイメージをオーダーする必要がありそうです。次が書き直しの結果。

 

【あとがき】

 これは「おじいさんの古時計」に影響されたつもりもないんですが、似ていると後から気が付きました。贈り物をしているのは誰なのか、自分自身という考え方もありますが、想像にお任せします。