三木句会ゆかりの仲間たちの会:原宿美都子さんエッセイ
クルーズは楽し
去年の夏、主人の友人夫妻に誘われ、初めて日本周辺のクルーズ旅行を経験。
退屈なのではと思っていたクルーズだが、実は荷物の出し入れがなく、朝起き
たら目的地に着いていて、希望により寄港地での観光も可という、体力に難あり
の後期高齢者には有難や~の旅であることがわかり、まさかのリピート。
今回はオーストラリアを目指す旅である。横浜を出港してまず清水に入港。
雲の上には他と比べると不自然な高さの富士山が聳えている。大阪ではちょっと
足を延ばして初めての姫路城見学。船客はオーストラリア人が90%以上とのこと
なので、なるほど富士山や姫路城を見て、、、ということなのね。
2日間の航海後、台湾の基隆に入港。台北、九分観光。九分の大階段は前に
経験ありなので割愛。初めての香港は、高層、超高層ビルの密集林立ぶりに驚愕!
地震は震度3くらいしか無いとおっしゃるが…
ところで、この頃ビザ取得はアプリからとのことで、オーストラリアとフィリ
ピンのビザ取得にはアプリと格闘の末にやっと取得。それなのにマニラったら
結局一度もビザを見てくれず、、、あの苦労はいったい、、、。
マニラでは、船の医務室では対応出来ない病人が出たらしく、レスキュー
ボートがきたり慌ただしい様子。ボートに何とか移れたようで、陸をめざして
行くのを見送った。その後も目処がたつまで船は止まったまま。予定より10時間
ほど遅れて出発できたが、陸地にまだ近いところにいてすぐレスキューボートが
来てくれたのは幸運だった。太平洋の真ん中ではどうなることやら、、、。
さて、赤道が近づいてきて赤道祭である。昔は難所を無事越えられるよう安全
祈願の儀式であったそうだが、今ではレクリエーション!船員がネプチューン
などの仮装をし、船客はプールでゲーム。盛り上げ上手なオーストラリア人は
大騒ぎ!
船での日々も15日目ともなると、食事の味にもやや飽きてくるでしょうと、
添乗員さんが取り出したのは日本のポン酢、チューブのワサビ、柚子胡椒で
みんな大喜び!
船は長さ300メートル近くあるので、真水のプールや劇場等があり、劇場
では毎晩ショーが披露される。ダンス、歌、演奏、手品、等々、多数を占める
英語圏向けの言葉であるが、それでも楽しめるショーが沢山。ある日のショー
で歌っていたジャマイカ人という若い女性が客席に「日本人はいる?」という
ので、我ら少数ながらパラパラ手をあげたら、日本人はいないと思っていた
らしく、「まじ?」と今時の日本の若者ことばでおっしゃるのでびっくり。
さらに「東京、白金に住んでいる」というのでこんどは我等も「まじ?」
6日間の航海のあと、いつの間にか遅れを挽回し予定どおりパプアニュー
ギニアのアロタウという町に入港。港が美しくまだまだ開発されていない地。
現地の人たちの伝統的ダンスに迎えられ、添乗員さんの案内で散歩を楽しむ。
美しい景色、ずっとこのままで、、、。
次は珊瑚礁が美しくシュノーケルやダイビングする人達の憧れの地という
コンフリクト島に向かう予定が、また病人が出たようでまさかの変更。あっさり
スキップしてブリスベンに向かうことに。コンフリクト島を目指してこのツアー
に参加した人たちはがっかり。
旅程が長く、かつ我らと同様後期高齢と思しき船客が多いせいかまさかの
連続。とは言え、ブリスベンには無事入港して、バスで観光に。コアラの
サンクチュアリで、保護のため抱っこすることは禁止になったけれど、背中を
なでているところをカメラにおさめてもらった。オーストラリアは地震がない
そうで、建築家の思いのままのユニークな橋が沢山。昔働いていた事務所で、
震度1.5くらいの地震があった時、オーストラリア人の所員が顔面蒼白になって
怖がっていたことを思いだした。
さてシドニーである。オペラハウスは写真で知っていたとおりのフォルムで、
どの方向からも美しく、世界遺産であることに納得できる斬新な造形であった。
メルボルンについてからは遂に下船。観光後、ホテルへ。翌日は早朝5時起きで
空港へ。横浜から25日ほどかけてたどり着いたメルボルンから、今度は成田
まで10時間半ほどひとっ飛び。この旅でもいつものお約束どおり、旅の仲間と
話しているうち、互いの友人、知人がつながって、世間は意外と狭いと盛り
上がる場面がたびたびあり、楽しい思いをした。これってまさかのやみつき?
優先席そっと座って石蕗の花 原宿美都子
photo: y. asuka
永き日や数独をとく船の上 池村実千代
