三木句会ゆかりの仲間たちの会: 原宿美都子さんのエッセイ
2歳ほどの保育園児らが、皆で手をつないで歩いていたり、4,5人
まとめて手押し車にのせられて行くのにであったりすると、いつまでも
眺めていたくなる。
本人たちは、どんな気持ちで散歩しているんだろうと思い、2歳半
くらいから保育園のお世話になった娘に、少し大きくなってから、2歳半
くらいの頃、どんな気持ちで保育園で過ごしていたのか聞いてみたが、
あっさり『覚えていない』。
自分の記憶をたどると、幼稚園でのことなので4、5歳くらいの
頃か、いつも着物に袴の厳めしい園長先生が、ある朝ふっくらとした
八重桜を一輪持ち、園児をまわりに座らせて、何も言わずその花びらを
1枚ずつひらひらと落としていくのを、何をしているんだろうとぼんやり
していたら、すべての花びらがなくなると先生は『花びらは何枚ありまし
たか』と質問。すると『何十何枚です』と答えた男の子がいてびっくり!
その子は後に同じ高校になり、医者の道へ。『栴檀は双葉より芳し』
ってあるんだなあと忘れられない。
photo: y. asuka
塩桜のびのびと湯にほどけおり 原宿美都子