sanmokukukai2020のブログ

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   2021年4月三木句会報

 

      水平線近く見るよな春の潮          加藤光樹   

      どの道も空籤なしの春の山          國分三徳  

       小半時遊んでくれた蜥蜴の子          

      絵ろうそく消えゆく春の朧かな        さとう桐子 

       つらゆきのかな文字散らす桜まじ         

       逢ふ人のみな若くして春の夢           

      道化師の袖に帽子にさくら蕊          田中 梓    

      巻貝の角ののどかや忘れ潮           太田酔子  

      踏青や眼裏の日々なぞり行く                  藤井 素    

      若桜少しゆとりのセーラー服          佐々木 梢   

      道具箱ヤル気を入れて春一歩          樹 水流    

      青き踏む赤血球の青むまで           関根瞬泡   

      チューリップ束になってかかってこい      有馬英子  

      老いし母かグーグルアースの村道に       草野きょう子 

      聖火行く新たな道に春驟雨          山崎哲男    

      清明や道場の窓声響く                    澤橋 凛    

      蕗味噌をまた作れると早起きす                原宿美都子   

      獣道行く杣人の桜かな                    神宮前小梅   

      登りつめ潮の香りや遍路道                  関本朗子   

      ごみ出すを鴉見ており犬ふぐり                白樫ゆきえ  

      骨納む桜蘂ふる山の寺                    佐藤花子  

      甘茶仏由来を語る師の説話                  幸野穂高   

      蜜蜂の巣箱静かや雨滂沱                   飛鳥遊子    

       生と死の乗換駅の花盛り         

  

 

    4月はこれまでになかったようなMVPが躍り出ました。10点句と9点句2つを

   ゲットの桐子さんです。合計28点という大量得点! 絵ろうそくの句は、<つづ

   く>のコーナーで瞬泡さんの絶賛解説がありますので、そちらに譲ります。「つら

   ゆきのかな文字散らす桜まじ」も「逢ふ人のみな若くして春の夢」も儚く美しいイ

   メージが描かれています。コロナ禍のこの時期に、まさに夢のような別世界に遊べ

   る空想力が羨ましいですね。

    三徳さんの10点句「どの道も空籤なしの春の山」。日本列島の春の山々は、ハ

   ズレなしでお花見ができます。桜だけではありません、春の山は萌え出ずる新緑が

   目を楽しませてくれます。雅と俗の合体、三徳俳句の面目躍如です。三徳さんの8

   点句はユーモア路線の「小半時遊んでくれた蜥蜴の子」、トカゲの子、30分もよ

   く付き合ってくれましたね~。さらに3つの8点句。「道化師の袖に帽子にさくら   

   蕊」は梓さん。桜蘂は誰にもふりかかるもの、その中には道化師もいました。はて、

   どなたのことでしょう、、、。句の真意は?謎です。次号<放課後>で自句自解し

   てくださると嬉しいですね。「巻貝の角ののどかや忘れ潮」は酔子さん。忘れ潮は

   満潮時に溜まった水が、潮が引いた後も岩の窪みなどに残っているもの。藤田湘子

   の「忘れ潮いそぎんちゃくも夢を見る」も愉快。素さんの8点句は「踏青や眼裏の

   日々なぞり行く」。若かりし日々の追憶といったシーンを描いて踏青の季語が効い

   ています。

    7点句の一つは梢さんの「若桜少しゆとりのセーラー服」。中学生でしょうか、

   真新しいセーラー服は3年間は着られるようにと少し大きめ。桜の若木とセーラー

   服のイメージが重なりました。もう一つの7点句は遊子の「蜜蜂の巣箱静かや雨滂

   沱」。素人養蜂家を始めて3年。今年は天候が安定せず、木瓜などは4月上旬に散

   り始めるし、暴風雨は来るしで、ニホンミツバチにとっては厳しい年のようです。

   滂沱は雨、涙、汗などが激しく流れる様の意。上田五千石の「胡桃の花滂沱と降ら

   し橋古ぶ 」は、花の散る様に滂沱を当てています。6点句は遊子の「生と死の乗換

   駅の花盛り」のみ。乗換駅と考えるとちょっと気が楽かな? 行き先は、生前の心

   がけ次第?! 西行の<願わくは花の下にて春死なむ、、、>を引き合いに出すま

   でもなく、死と桜は結びつきやすいですね。三徳さんの特選と、”悟りの句と受け

   取りました。重くて明るいです。場外ホームランです”とのありがたいコメントを

   いただきました。

    5点句も水流さんの「道具箱ヤル気を入れて春一歩」のみ。ヤル気をやる気に置

   き換えると、ちょっと句の雰囲気が変わってくることに気づきます。カタカナの方

   が、キッパリ前向き!を表すような気がします。例えば、飯田蛇笏の「をりとりて

   はらりとおもきすすきかな」を「折り取りてはらりと重き芒かな」とすると、ガラ

   リと雰囲気が変わるのがわかります。漢字にするか、ひらかなにするか、カタカナ

   にするか、1句の字面の好ましさや受ける印象に気を配りたいものです。

    今月の兼題は「道」でした。道祖神、桜街道、獣道、歩道橋、道場、道化師、道

   徳など、多様な使い方をしていただきました。「道」はいろいろな熟語になってい

   ることを改めて気づかされました。5月の兼題は「声」です。どのような声が聞け

   るでしょう、楽しみです。

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                                                                                           photo: y. asuka

                 想ふこと春夕焼より美しく          富安風生