ハーバードの日本人論 佐藤智恵

 あなたのキャリアには可能性がある

――転職を成功させるために、今、日本のビジネスパーソンは何をしておくべきでしょうか。

 これは個人のみならず企業、政府も一緒になって長期的に取り組むべき課題です。個人は自分のキャリアにはもっと可能性があることを認識し、企業は中途入社の人たちを歓迎するオープンな社風をつくり、政府はこうした動きを後押ししなくてはなりません。

 日本のビジネスパーソンがまず取り組むべきなのは、ウィークタイズを増やすことでしょう。高校や大学を卒業してからずっと、同じ会社に勤務している人は、人的ネットワークも仕事の経験値も限られてきます。できるかぎり異業種の人々と交流することで、世界観を広げる努力が必要です。

 もう一つは、人生の棚卸しをすることです。これまで自分はどんなスキルを磨いてきたのか。「自分の能力が評価されるのはこの会社の中だけだ」と考えるのは間違いだと思います。20年、30年と同じ会社で働いていた過程で、多くのスキルや知識を身につけてきたはずです。それは、所属企業だけではなく、ほかの企業でも生かせるものなのです。

 自分が築いてきた資産は次の仕事に生かせるのか。これを深く考え、整理し、社外の人にもわかるようにうまく伝えることが必要になってくると思います。

 

――ハーバード大学の学生文系、理系にかかわらず幅広い講座の中から自由に好きな科目を選択することができます。なぜえハーバードは教養教育を重視するのですか。

 アメリカの高等教育システムの目的は、学生に社会に出てかた役立つ思考やスキルを身につけてもらうことだからです。またあらゆることに柔軟に対応できるための基礎としても教養教育は大切です。

 多くのアメリカの大学では、受験する際に専攻を決める必要はありません。日本のように「医学部」を受験する、「法学部」を受験する、というシステムになっていないのです。もちろん、応募書類には大学で学びたいことを記入する必要がありますが、大学に入ってから専攻は自由に変えられるのです。これはとても良いシステムだと思います。

 ハーバードでは、将来、医者になりたいと思っている学生も、芸術が好きなら、芸術の授業を履修することができます。芸術の講座は芸術家になりたい人だけのために開講されているわけではないのです。ハーバード美術館に行って、絵画を鑑賞すれば、人間としての見識が広がります。この体験や知識は医者になっても役立つものです。

 私は社会科学の授業を教えていますが、工学専攻の学生もたくさん履修しています。たとえばアメリカが抱える社会問題を分析するスキルを教えれば、学生は「ニュースを読むときはこういう批判的な視点で見ることが必要なんだな」とか、「自分が工学の授業で身につけたスキルは、貧困問題を分析するのにも使えるぞ」などと気づくことになります。学生には、専攻にかかわらず、社会問題を違った視点から見る術を学んでほしいと思っています。

 

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日本にたりないリベラルアーツを海外ではかなりやっている

日本は義務教育だけではたりない教養を

高校、大学では教えない

むしろ勝手に生きろろ言わんばかりの扱いで社会に放り出す

都合がいいのは政府や官僚であろう

いうことを聞く人間が増えればいい

なんの疑問も持たずに生きて税を納めてくれればいい

そんな人間にはならないよう

教養は必要だ

いや本当の教養が必要なのだ