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その少年は、
幼稚園の年中から小六まで、
8年間ピアノを習っていた。

毎週月曜日に、
家から自転車で15分のところに通っていた。

6時からのレッスン。

いつも練習はレッスンのある日、
学校から帰ってからの1時間強だけだった。

ギリギリまで練習してレッスンに向かっていた。

もしも早く着きそうな時には、
寄り道してジャンプを買っていた。

少ないお小遣いでも毎週、
ドラゴンボールスラムダンクしたたか君燃えるお兄さんダイの大冒険・・・が楽しみで購入していた。




ある日雨が降っていた。

レッスンへは、母に車で送ってもらった。

少し早く着いた。

ジャンプを買いに行く。


帰り迎えに来てもらった。

母「ジャンプ買っておいたよ。」

「・・・ありがとう。」

その日我が家には、ジャンプ二冊あった。

まったく同じだが、全然違うジャンプが二冊。

そのうちの一冊は今でも宝物として置いてある・・・



わけないのだった。

「言うてくれたら良かったのに、もったいないね!」

なんて言わなきゃ良かった・・・。


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先週の月曜日、繁昌亭で後輩が

「今週号のジャンプいいですね・・・。」
と言っていたので、もう一冊買って来て、

「おい、間違って2冊買ったから、やるわ。」


「しぇ、しぇんぱーい、ありがとうございます!」


となるはずだったのに、

「えー、おっちょこちょいですね。」やて。



・・・誰が間違うか!


あの時とは違う涙にくれるのであったのであった。


PS みんなで僕の優しさを言いふらそう!
・・・彼に伝わるまで。