国連の科学委員会のメンバーが9月5日に福島市を訪れて、今回の東京電力の第一原子力発電所における原発事故について説明会を開いた。科学的なデーターを示しながら、事故の放射線による癌の発症率への影響は極めて小さいと断言した。
同報告書の作成には国連加盟18カ国から80人以上の科学者や専門家が参加。世界保健機構(WHO)や国際原子力機関(IAEA)、東電などの調査資料を精査して、今回福島原発事故の放射線被爆による健康リスク評価をまとめた。
この説明会には医療や行政の関係者ら180人が出席。同委員会のカールマグナス・ラーソン議長は放射性物質の拡散状況を説明、癌の発生率や遺伝子影響に「識別可能な増加は予測されない」とした。
また、公衆線量評価担当のミハイル・バロノフさんがチェルノブイリ原発事故と比較し、「福島の原発事故は予防措置により、被ばく線量が大きく低減した」と報告した。
出席者から意見や質問も受け付け、「説得力があった」「事故の尺度と、健康リスクの評価は違うことが分かった」などの声が聞かれた。ラーソン議長は「新しい情報を得て、また発表したい」と述べ、調査継続を明言した。
福島民友新聞社 9月6日報道