今臨時国会で民法(非嫡出子の遺産相続分)の改正の動き | 産経新聞を応援する会

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■今臨時国会で民法(非嫡出子の遺産相続分)の改正の動き

l185回臨時国会が、1015日から12月6日までの53日間の日程で開催されています。先月4日の最高裁判所大法廷において「婚外子(非嫡出子)の相続分が嫡出子の二分の一は違憲にあたる」旨の初の判断が下され、その件に関して先週の金曜日(10月18日)、国会において次のような質疑応答がありました。

○西村まさみ・参議院議員(民主党)

「9月4日、最高裁が非嫡出子の法廷相続分を嫡出子の二分の一と定める条項を違憲とする判断を行いました。民主党は1998(平成10)年以降16回にわたり婚外子相続差別規定を削除する民法改正案を野党共同で提出して参りました。本年も最高裁大法廷回付を受け、緊急改正が必要と考え、通常国会に再提出いたしましたが、与党は審議さえ応じず、その結果最高裁違憲判決を待たず立法府の良識を示すことが出来ませんでした。今回の最高裁判断を受け、政府は婚外子相続差別規定を削除する民法改正案を、この臨時国会に提出し、成立を期すべきと考えますが、安倍総理にお考えをお伺いいたします。

同じく9月3日には女子差別撤廃委員会より日本政府が勧告不履行を指摘されたところです。嫡出子、非嫡出子の相続同等化以外にも、男女ともに婚姻適齢を18才に設定すること、夫婦に氏の選択を認めることを内容とする民法の改正、更に女性のみに課せられている6ヶ月の再婚禁止期間の廃止が求められています。これらについての今後の政府のご対応を安倍総理にお伺いします。」

 

安倍晋三・内閣総理大臣

「嫡出外子の相続分に関する民法改正についてのお尋ねがありました。政府としては、ご指摘の最高裁判所の違憲判決の趣旨を踏まえ、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一としている民法の相続規定について見直しを検討しているところです。婚姻適齢の見直しなど女性に関する民法の規定についてのお尋ねがありました。ご指摘の点はいずれも我が国の家族 のあり方に深く関わるものであり、国民の間にも様々な意見があることから慎重に検討すべきものと考えております。」

今回の安倍首相の民法の相続規定の見直しの発言の背景には、官僚が準備を進めている改正案があり、その案が今国会に提出される動きがあることが判明しました。

■民法改正案に対し自民党の法務部会で反対して戴くことが重要

さて、政府(内閣)が提出する法案は、国会での審議の前に与党(自民党)において「事前審査・承認制度」が慣例として実施されています。つまり政府が提出する法案については、事前に与党(自民党)の審査を受ける趣旨であります。その中心になるのは「法務部会」です。過去にも夫婦別姓への改正案や人権救済法案等も多数の議員が同部会に出席され、喧々諤々の論議が繰り広げられました。同部会は全会一致が必要とされ、国民の意見が広く割れていたそれらの法案は全会一致の結論に達せず、自民党においては承認に至りませんでした。その為に内閣もそれらの法案を提出することができず、断念するに至りました。

今回の民法改正案に対しても同様の働きかけが必要であります。同部会には、自民党の議員であればどなたでも参加できます。従って、今臨時国会で内閣による民法改正案の提出を阻止するためには、自民党の法務部会がその案に対して賛成(全会一致)の結論を出さないことです[註:本日(22)正午からの法務部会では決まらず、今後の法務部会へ向けご意見願います]

■平成20年の最高裁の判決に従って改正(改悪)された国籍法の問題点

今回、最高裁において違憲判決が出されましたが、しかし判決が出されたからと言って早急な改正には問題があります。その典型的な事例は、5年前の国籍法改正(改悪)です。

平成20年6月4日に最高裁判所が、婚姻の有無により子の国籍取得の扱いに差異を設けた現行の国籍法は憲法の平等規定に反するとの判決を出しました。これを受けて、その秋の臨時国会で改正(改悪)案が提出されました。この改正(改悪)案について議員の中から「外国人が日本人に成りすませることのできる危険な法案だ」との指摘が起こり、改正に反対だった戸井田徹議員(当時)が、所属する津島派の会合で国籍法改正案を理解している人がいるか尋ねたところ一人の議員も挙手しなかったというエピソートが残されているほどです。

改正(改悪)された現在の国籍法について、元警視庁の北京語通訳捜査官の坂東忠信氏は、著書『日本が中国の「自治区」になる』の中で、その危険性を次のように指摘されています。

この国籍法の「改正」点は、簡単に言うと、外国人女性が日本人男性と性的関係を持って妊娠した場合、日本人男性との結婚を条件としなくても、その子供は日本人である父親の認知だけで日本国籍を取得することが可能になった点。‥‥問題は、子供をダシにした日本国籍や滞在許可の取得が、極端に容易になったことにあります。‥‥【事務局註:平成25年6月30日現在で、父母が婚姻していない子供に「国籍取得証明書」の発行者数は2,280人に及んでいる】

 また中国政府はすでにこの法律の利用を計画していて、日本に渡航予定の就学留学生や企業派遣女性には、この法改正を紹介し、「妊娠したら日本人に認知させて、子供を日本国籍にするように」「国籍取得後は子供を中国で養育すること」と指導をしているという情報が入っています。なぜだと思いますか?

 日本国籍を持ち、中国人の血をひく子供を中国で養育すれば、身分以外はほとんど中国人。

反日教育と諜報活動に必要な訓練を施し、成長後来日すれば、完全無欠の工作員になるからです。‥‥日本語も話せず日本人の思考回路を持たない「新日本人」が、私たちの身の回りに増殖し、日本企業や地方自治体、もしかすると公務員公安職や政治にまで侵入して、日本の国益の元となる大切な情報を、育ての国に流出させるでしょう"

 無論、今回の相続分に関する民法改正がこのような危険性を持つものではないにしても、最高裁の判決に従って十分な議論を経ないままの法改正は、新たな問題を抱えることは必至です。従って法改正は、予想される現実と対応策が十分に検討されて進められるべきであります。

■「憲法訴訟史上、歴史的誤判」との指摘もある今回の最高裁判決

弁護士・元裁判官の井上薫氏は、今回の最高裁の判決について、「今回の決定が明白な誤判であり、しかも裁判史上、あるいは憲法訴訟史上、長くその名を残す歴史的誤判である」と指摘されていますその理由は、平成7年の最高裁の大法廷では、非嫡出子の半分規定は平等原則に違反せず合憲である旨【当時の最高裁の理由:本件規定の立法理由は、法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重するとともに、他方、被相続人の子である非嫡出子の立場にも配慮して、非嫡出子に嫡出子の2分の1の法定相続分を認めることにより、非嫡出子を保護しようとしたものであり、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったものと解される。民法は法律婚主義を採用しているのであるから、右のような本件規定の立法理由にも合理的な根拠があるというべきであり、‥‥本件規定は、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するものとはいえない】の判断を下していることに対して、井上氏は、①(この)合理的な根拠を失わせるほどの急激な社会的環境の変化があったという判断は明白に誤りであること[わが国では法律婚主義を採用し続け、いまこれを廃止しようという大勢が国民の中にはない]、②平成7年の大法廷決定以降、半分規定を廃止して非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにすべきだという意見は常に現状維持の意見を下回っていること、を挙げられています。具体的な数字で見れば、非嫡出子の割合は、わが国の場合に増えたと言っても2%であり、欧米のフランス56%、イギリス47%、アメリカ41%と比較しても全く事情が異なること、また内閣府の世論調査によれば、「(非嫡出子の)相続できる金額を同じにすべきだ」に対する国民の回答は、25.0(平成8年)24.5(18)25.8(24%年)16年前の支持率から殆ど変化がなく、また「現在の制度を変えないほうがよい」に対しては38.7(平成8年)41.1(18)35.6(24%年)と、常に1.5倍前後の支持率が続いています。

よって井上氏は、「国の伝統、社会事情、国民感情のどれを取ってみても、『平成七年以降、合理的根拠を失わせるほどの急激な社会環境の変化があった』とはいえない」と述べ、「今回の違憲判決の根拠は失われたというほかはない」と断じておられます

このような疑義が呈される最高裁の判決のもとに現在の民法が改正されることは由々しきことであり、既に有識者からも指摘されているように家族観や結婚観、わが国の伝統・文化にも多大な影響を与えることが危惧されており、慎重な判断が求められるべきであります。