西村真悟 やはり、血も涙もないコミンテルンの走狗 | 産経新聞を応援する会

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眞悟の時事通信より。


 【やはり、血も涙もないコミンテルンの走狗】


 文藝春秋6月号に、避難指示区域の福島第一原発の半径二十キロ圏内が立ち入り禁止区域となる四月二十二日まで、取り残された犬や猫の救出にあたっていた中谷百里さん(NPO法人犬猫みなしご救援隊理事長)の手記が掲載されている。

 この地域は、ご記憶の通り、福島第一原発の事故直後つまり地震と津波襲来直後、政府により避難指示区域とされた。そして、避難するために役場に集められた住民は、ペットは連れて行けないのでその場で放すように指示された。

 そこで、中谷百里さんらは、飼い主に放されて取り残されたペットを保護するためにこの避難指定区域に入り、立ち入り禁止区域にされるまで、多くの犬や猫を保護する活動を開始した。

 その手記が、文藝春秋に掲載されているのであるが、その中に次の一節がある。

 「原発近くの浜辺には、津波で流された遺体がたくさん放置されていました。南相馬市から富岡町にかけて海辺を走ると、至るところに遺体が『そのまま』の形で残されています。避難指示が出されていますし、放射能で汚染されているということで、回収もされていない。

 私たちの目にも入ってきましたが、遺体を回収するのは私たちの仕事ではないので、心の中で『ごめんなさい』と謝っていました」

 政府が、この地域の遺体捜索に動いたのは、事故発生から一ヶ月以上経過してからであったが、その頃、福島県内にいた私は、次のような話を聞いた。

 「発見された遺体は、白骨化していた。子供の遺体が木の枝に引っかかったままであった」

 また、避難指定地区外の大規模な遺体捜索が行われていた地域では、指や手首が切断され、顎がこじ開けられた遺体が多く発見された、誰かが遺体から指輪や腕時計や金歯を奪ったと考えられる、という話を聞いた。

 さらに、西村幸祐氏が編集した「ジャパニズム」という雑誌の創刊号には、被災地からのレポートとして、何者かに破壊されて中の現金が奪われた銀行のATM機の写真が掲載されている。

 そして、地震直後に、仙台から山形に避難した知人が次のように私に言った。

 「山形空港には、地震直後、一団の中国人が続々と降り立ち、私と反対に被災地の方に入っていった。彼らは、何をするために被災地に行ったのだろうか」

 以上は、大手のマスコミが報道しない現地の状況である。意図して報道しないのか、取材できていないから報道しないのか、分からない。

 確かに大手マスコミの多くの記者が、被災地に入っている。そして、彼らに、「どこに泊まったの」と尋ねると、「ホテル」と答える。今まで、野宿したと答えた記者には出会っていない。

 従って、「至るところに遺体が『そのまま』の形で残されている」所に行った記者はなく、遺体の指や手首を切断して指輪や腕時計を盗む集団がいる所や、銀行のATMを潰している者達がいる所で野宿した大手記者もいないと思う。

 現場の実態、実相については、地震直後から二ヶ月近く被災地にいる、不肖宮島茂樹さんに尋ねるのが待ち遠しい。

 とはいえ、以上の事実は、次の事を明らかにしている。

(1)、福島原発周辺の避難指定区域内においては、政府は一切の救助活動を行わず、動けない住民は死にゆくに任せられ、遺体は白骨になるまで放置されていたということだ。その地区では、犬や猫は保護されても人間は放置されたのである。

(2)、他の多くの犠牲者が生まれた地域では、遺体を切断して金品を奪うという身の毛がよだつ凶行が多発していたのであり、ある意味では「戒厳令」を以て被災民を保護する事態ではなかったのかとも思われるのである。

 そして、被災地における(1)と(2)の事態を生みだし、そして、放置したことは、共に菅内閣の血も涙もない重大な失態である。

 特に、(1)の事態。人間として許されるものではない。

 官房長官も民主党幹事長も、被災地の人々が平服でいるところに仰々しい防御服を着て手袋をしたまま挨拶し握手している。

 この風景を見て私は怒りがこみ上げた。

 彼らは何かあれば国民とともに踏み留まる者達ではなく、自分だけ一気に安全な場所に避難する輩である。

 昨日、久しぶりに早稲田大学に行った。弁論部の同窓会である早稲田大学春秋会の総会で講演するように依頼されたからである。そこで私は、現在の民主党菅内閣を理解する鍵は、コミンテルンであると、次のように話した。

 コミンテルンは、各国の共産主義者にソビエトを母国として、ブルジョアジーを打倒し国家を廃絶せよという目的を掲げた。

 その為に、必ず起こる帝国主義戦争において、「自国を弱体化させて敗北させ、敗戦から内乱に、内乱から革命を実現すること」(第六回大会)、さらに、「共産主義者は身分を隠してブルジョア組織の中に潜入して目的を達成すること」(第七回大会)を指令した。

 この第六回大会の方針通り内乱から革命を経て権力を握ったのが中国共産党である。そして、菅直人氏ら、現在の日本の左翼の青春時代は、ソビエト、中共の指導するコミンテルンの影響下の学生運動が燃えさかった時であった。

 民主党のポスト・モダンとは、国民国家を超えてゆくことと説明されているが、これ即ちコミンテルンの目的とした国民国家の解体であり、その為に民主党は外国人にも参政権を付与しようとしている。

 市民運動家という菅氏や弁護士の仙石氏をはじめとする内閣の面々は、コミンテルン第七回大会の指令通り、「身分を隠してブルジョア組織の中に潜入して」出世して権力を得た者達である。

 菅氏が、「国民の安全のため」と言いながら、前記(1)や(2)のような事態を放置しているのは、彼が血も涙もないくせに美辞麗句を弄んで民衆を誤魔化す左翼の典型であることを示している。

 巨大災害に襲われている現在、一番必要なこと、優先順位の第一は、復興である。そして、その復興は産業の活性化を前提とし、それには電力が死活的に必要である。

 従って、菅氏が「国民の安全のために」中部電力に強要した代替手段なき原発稼働停止は、我が国に死活的に必要な電力を大幅に削減することによって産業活性化の道を閉ざして我が国の復興の方策を奪うことである。

 これは、菅氏が「自国の弱体化」というコミンテルンの指令を総理大臣として忠実に実行している事を意味する。

 なお、早稲田大学春秋会の会長は、自称水戸黄門の渡部民主党最高顧問である。私の話は一時間であったが、話が残り五分ほどで終わる頃部屋に入ってきた黄門さんは、私が話しているのを見て驚いたのか、「誰が呼んだんだ」ととなりの人に尋ねているのが耳に入った。年齢的に声の調節ができなくなっているのか。

 黄門さんが、党綱領もなく売国的事績しかない政党の「最高顧問」とはなー、水戸黄門も驚く。

 とはいえ、私に話す機会を与えていただいた早稲田大学春秋会に感謝し敬意を表して本稿を終える。


      西村真悟 


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