*「サンカ」が県境に隠れ住む理由 | 『サンカ研究』(山窩ラボ)

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「サンカ」「山窩」という不思議な存在を調査し、宣伝していきます。



とある暴力団組織の三次団体組長に
よく取材をしていた時期がありました。
相手はヤクザですから当然、普段以上に緊張するのですが、
その方は大変お話の面白い方で、
自分は、
恐れつつもワクワクして取材に当たっていました。


こちらがビビりつつも
興味しんしんで話を聞く姿が面白かったのでしょうか、
組長は色々なお話をしてくださいました。


とんでもなく恐ろしい話を平気でするものですから、
取材が終わり、サヨナラをすると
どっと疲れが押し寄せてくるんですよね。
コーディネーターの方はそれを
「ワル疲れ」と言っていました。


このブログで最近投稿している
山梨県丹波山村や、
九州の「サンカ」事情に思いを巡らせていた時に、
ふと、この組長の言葉を思い出しました。
その言葉とは...


「県境にはワルが多い」


ということです。
県境には
不良の徒が集まりやすく、
当然犯罪も多いというわけです。


その理由を聞くと
「県境をまたげばオマワリが追って来ない」
からといいます。


明治時代、官憲による山窩対策のひとつが、
「追い払い」でした。
つまり、巣食っている「山窩」を
とにかく追い払うのです。
それでは根本的な解決にはなりませんが、
「追い払い」が最も有効な処置であるとして
(他に対策がなかったから)
長らく行われていたようです。
管轄外へ追い払えば一件落着、というわけです。


組長のお話と、明治期の山窩対策を合わせてみると、
「サンカは県境に隠れ住んだ」という仮説を
立てることができます。


わたくしが山梨県の丹波山村に興味を持った理由の一つが、
「山窩の巣窟」と呼ばれた東京都奥多摩の、
県境をまたいだすぐ隣の
山梨県の村だったからです。


このブログでも何度か触れている
九州の「サンカ」事情ですが、
九州の真ん中、
大分県、熊本県、宮崎県をまたがる地域が
やはり「サンカ」情報の濃度が濃いエリアのようです。


そもそも県境や国境は、
支配者が勝手に作った境目に過ぎません。
漂泊する民にとっては、
めんどくさい存在でしかないでしょう。


その「めんどくさい存在」を逆手に取って、
不良の徒がはびこるというのは、
ちょっぴり痛快な話だなぁと
思ってしまったのでした。




●追記

2011年に暴排条例が施行されました。
島田紳助の芸能界引退の騒動は、
暴排条例のPRの側面もあるでしょう。

この暴排条例、
暴力団と交際した一般市民側にも
ペナルティが下されるのが特徴です。
ヤクザを取材したり、謝礼を渡すことは
現在はNGなのでしょうか。



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