きのこ歴30年。
その歴史の中でひときわ自分の記憶に刻まれ、そして後の世に語り継ぐかもしれない旅がある。
西暦2012年、日本は野田総理の時代。
菌学会は東北、関東、西日本3つの支部が互いに研鑽を競い、
荒ぶる猛者?が野山を駆け巡っていた。
採集紀行伝 新国演義!
少し前までは少年は外で遊んだ それが彼らの日常だった
ゲームと話すより泳いでる魚捕まえ きのこの名前など覚えたものだ
これはなに?彼が尋ねる ハラタケと我は答える
そのときすでに我は 少年を道連れにしている
先探しているから 迷わずに付いておいで
名前調べる頃を見計らい 図鑑出してあげるよ


海岸に降りてみると、枯木の上に「新巻さけ」と書かれた板が置かれていた。
これはだれかのアート作品か?

今日はきのうとは反対側で探してみる。
この石の上を歩いても見つからない、又はわからないので、波打ち際を歩く。
波打ち際なら打ち上げられる石もあるだろうし、水にぬれていればわかりやすいだろう。
このときのために用意したサンダルを履いてきており、靴下を脱いでズボンのすそをまくって波打ち際を歩く。しかし、歩いていると波が来て、サンダルの中に小石が入ってすぐ痛くなるし、ズボンのすそが塩水でぬれてしまう。

ぬれた小石。この中にヒスイがあるように見えるだろうか?
欲に駆られるとみんな緑色の石に見えてくる。
だから、もともとなくて当たり前、くらいのほうがいい。そこでひとつでも見つかればラッキーというかんじで。
実は探している途中からあることに気がついて、もっぱらそれを狙って歩くことにした。

海の中でなに生物が動いていると思ったら、ばっちり装備したおっさんが海に潜りながら石を捜していた。なにもそこまでとは思うが、そんなので見つかるのかね。

これが今回の主な標的。この石なにかわかるかな~
これはネフライト。「軟玉」ともいう。
これも広義の「ひすい」と呼ばれることもあるが、ほんとうのヒスイ(硬玉)とはちがう。しかし、緑系の色で少し透明感があり、独特のつやがある。
歩いているときこれがあることに気がついて、もっぱらこれを見つけては次々と拾った。
ネフライトは透角閃石という鉱物の緻密な結晶の集合体で、古代から中国で「玉」といえばこちらのほうをさしている。

下から光りをあててみると、ある程度の透明感があることがわかる。

いくつか大きいものも拾えた。

今回拾った全ネフライト。黒っぽいものや色がいまいちなものもあるが。

こうした貝殻やビーチグラスなんかも拾える。

見よ!この緑の小石を!
次回、採集紀行伝 新国演義
第6話「たら汁」
いざゆかん、民のために!