きのこ歴30年。
その歴史の中でひときわ自分の記憶に刻まれ、そして後の世に語り継ぐかもしれない旅がある。
西暦2011年、日本は野田総理の時代。
菌学会は東北、関東、西日本3つの支部が互いに研鑽を競い、
荒ぶる猛者?が野山を駆け巡っていた。
採集紀行伝 信国演義!
それがささやかな少年の趣味のためでも 我は律儀に語りかけた
町に埋もれて生きるのがいやに思えて 季節季節に雨を待った
これはなに?彼が尋ねる ハラタケと我は答える
野山にしみる雨で 菌類の成長を促す
限られた予算の中 無駄遣いしないように
息をアラゲきつい 山登り後を追っておいでよ
地面の、コケがかたまっている場所にクロラッパタケが散生していた。
「死のトランペット」という異名があるが、毒ではなく食用になる。
ついにあった、これがオオツガタケ。
幼菌でありながらなかなか立派なもの。いやむしろ食用にする場合はこれくらいのほうがいいのかもしれない。
オオツガタケのあった近くに落ちていた球果。
けっこう大きなものに多数の種子がついている。これはなんの球果?
シラカバの切り株からはカンバタケが出ていた。
硬質菌だがかちかちでもなくほんのり柔らかい。
樹皮をつきやぶって飛び出し成長したことがわかる。
これもこっちに来ないと見られない、ツノシメジ。
シラカバの倒木から発生する。
明るい茶褐色の顕著な鱗片が特徴。種小名は「過剰な装飾」。
一見、スギタケ属のようにも見えるが、ヒダ(胞子)が白色なので異なる。
そこで属名は「白いスギタケ属」。
今度は成長したオオツガタケを発見。
次回、採集紀行伝 信国演義
第9話「寝覚めの床」
いざゆかん、民のために!