極度のスランプに陥ったマリナーズのイチロー外野手(37)。前日8日も4打数無安打で、打率・256、66安打。このままのペースだと年間172安打で、10年続いた200安打以上の記録が途絶える大ピンチだ。そんななか、FOXスポーツのジョン・モロジ記者は「200安打への執着を断ち切り、今こそイチローがチームリーダーとして3番を打つとき」とブチあげた。

 8日のホワイトソックス戦を延長10回7-4でものにしたマリナーズ。開幕前、100敗すると予想されたチームが32勝30敗で貯金2。ア・リーグ西地区で堂々の2位につけている。

 それだけに逆に際立つのが、チームを勢いづける「1、2番コンビ」として期待されたイチローとフィギンズ三塁手の目を覆うばかりの不振だ。特にフィギンズは打率・187。すでに2番から降格となり、なおもがいている。

 2人合わせた年俸は2750万ドル(22億円)。チームの総年俸8650万ドル(69億2000万円)の30%を占める。

 しかもイチローのOPS(出塁率+長打率、どの程度の強打の持ち主かを示す数字)はア・リーグ14球団の右翼手の中で最低。フィギンズのOPSもア・リーグの三塁手の中で最低だ。

 名指しこそ避けたが、ウェッジ監督は7日にエース、ヘルナンデスで試合を落としたあと、「ベテランにもう少し頑張ってもらわないと」とグチをこぼした。イチローとフィギンズを指していることは明白だった。

 打開策について、モロジ記者は「フィギンズはもともと1番打者。イチローが塁に出たあとの2番はあまりに負担が大きかった。彼に1番を任せ、イチローを3番にしてはどうか? そうすれば、今3番を任されている若手のスモークものびのびやれる」とみる。

 イチロー3番説は以前もあった。だが連続200安打に固執するイチローが打席数の多い「1番」を譲らなかったのがこれまでの経緯。

 マリナーズが今季も優勝争いから早々と脱落していたのなら、それはそれで構わない。だが、地区優勝が手に届く所に来た今、イチロー自身がチームリーダーになり、監督に「3番を打ちます」と言い出すことが望ましい、と同記者。

 「試合前の打撃練習を見た評論家たちは、イチローがその気になりさえすれば年間20本から25本は軽く打てると見る。もちろん3番で本塁打をねらえば、足で稼ぐヒットは減るが、チームの得点力は断然アップするだろう」

 もっとも、そう指摘した後、「たぶんそうはならないだろう。今季からマリナーズの指揮を執るウェッジ監督も歴代の監督がイチローとの軋轢で解任された歴史を知っている。下手にイチローを怒らすことはしないだろう」とも。

 あとは11年連続200安打と、新人の年の2001年以来となる地区優勝のどちらがイチローにとって価値があるかになってきた?!

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