それから何日かして、元の審神者が戻ってきた。儚げな、それでいて笑顔が印象的な女性だった。長時間起きている事は難しいが、病院に篭ったままでいるよりは本丸に居たい、という事だった。
本当は彼女がくる前にここを去りたかった。
僕はもともと物を溜め込むタイプではない。
最低限の持ち物しか持っていないから、すぐにでも引越しは可能だ。
一年弱しかここに居ないから、増えた荷物もそれ程ないのだ。
しかし、本調子ではない彼女を支えつつ引き継ぎを行うよう政府から要請があり、それは叶わなかった。
彼女が居ない間の事やその他の引継ぎ等、審神者同士時を同じくする事が多かった。
良い成績の本丸を運営していただけの事はある、とても感じの良い審神者だった。
この人が帰って来なければ、と、微塵も思わない訳ではない。
ただ、元からここに居る男士達の心持ちや、そもそもの本人の人の良さを感じる度に、これは良い状況なのだと、自然に思えるのだった。
ここを出たら僕は新しい本丸で再び審神者業に励む事になるだろう。
それを踏まえ、初鍛刀の男士を近侍にしていた。初鍛刀の薬研は僕について来てくれる事になっている。
また、僕がこの本丸を引継いでから鍛刀された男士やドロップにて顕現した男士の中には、僕と道を同じくすると意思表示してくれる者もいた。
石切丸はその筆頭だった。
僕について来てくれる予定の男士を取りまとめ、一応政府にも連絡をしてくれていた。
審神者に対してサバサバしている男士と思っていたが、そうでもないらしい。
僕は心強く思うと共に、ただ嬉しかった。
僕を慕ってくれる男士がいるという事。
審神者としての自信にもなった。