掛け合うようで掛け合わない、時に擦れ、時に寄り添い、ずれこむ。複雑な、それでいて明快に、二つの音がしばらく絡まり合う。


もう少しで曲が終わるというタイミングで(多分もう一人の吹き手と、審神者と繰り小刀丸だけが分かっている)軽い足音がパタパタと聞こえ、最後の一音を長く伸ばすところで、障子の向こうから龍笛を構えた顔がひょっこりと現れた。


今剣である。


「うわぁ〜、やっぱり あるじさま だったんですねぇ〜!!。ひちりきのおと、ひさしぶりにききました。ぼく、うれしくなって あわせちゃいました。よかったですか?」

障子戸からひょっこり顔を出した状態で、今剣は聞いてきた。

「今剣ちゃん、もちろん大歓迎だよ!!。むしろ自分も本丸で合わせが出来るとは思ってもみなかったもん!、すっごく嬉しい!!」

審神者が破顔すると、今剣も嬉しそうに部屋に入ってきて、空いている机の端に座った。

「あれっ?、あたらしいかたですか〜?。めずらしいですねぇ、ぼくは今剣といいます!。よろしくおねがいしますねぇ!」

今剣は、机の上の状況を見て、大体を把握したらしい。ただそれを受け入れて、楽しそうな笑顔を繰り小刀丸に向けた。

繰り小刀丸も嬉しそうに笑顔を返した。


「あるじさまっ、こんどは『あずまあそび』をやりませんか?。きっと石切丸がまってくれますよ!!、おぼえいたらですけど」

言うなり、龍笛を若干細い高麗笛に持ち替えて冒頭のフレーズを吹き出す。審神者は篳篥の出だしを何とか思い出して、入りの部分に間に合わせた。


雅で華やかなメロディが繰り出される。

高麗笛と篳篥の掛け合いが、古の平安の世を思い起こさせるようだった。