東郷池の北東にそびえる御冠山の中腹に鎮座する「伯耆国一ノ宮 倭文神社」。

 

 

創建年は不明だが、延長五年(九二七年)に編纂された『延喜式』」に当社の名が見える。

 

 

創建当初、当地の主産業が倭文(しずおり)の織物であったため、機織の祖神である建葉槌命を主祭神とされた。

 

 

建葉槌命は倭文部を率いたヤマト王権の豪族・倭文氏は祖神とされ、同氏が祀った奈良県葛城市の葛木倭文坐天羽雷命神社が倭文神社の起源とされている。

 

 

また、出雲から亀に乗って当地に漂着した大国主命の娘・下照姫命が、陸からの眺めを大いに気に入り当地に留まったことから相殿神として祀られている。

 

 

織物産業が衰退したことにより、長く建葉槌命の存在が忘れられ下照姫命が主祭神とされていた。このため下照姫命の御神徳である安産守護として崇敬されてきた。

 

 

社記によれば本殿は1818(文化一五)年、拝殿、幣殿は1929(昭和四)年の建築と伝わる。

 

 

本殿は三間社流造で正面中央には唐破風を持つ向拝が取りつく。

 

 

側面の妻飾りには花葉文様の彫刻を施し、華やかな組物とあわせて豪華な雰囲気を出している。庇の両端柱と本殿をつなぐ海老虹梁には、渦若葉を波浪文様にアレンジした彫刻が施されている。

 

1872(明治五)年建築の随神門。

 

 

間近で見られる随神門は動物天国。

 

阿。

 

 

吽。

 

 

内側は鳥。

 

 

豊かな緑に覆われた随神門から拝殿までの参道。

 

 

参道脇に巨大な石。

 

 

また、石。

 

 

そして、社殿。

 

 

かつて御本殿裏には乳神さんと崇められるタブノキがあった。

 

 

目通り周囲6.7m、枝張り南北10m、東西8.8m、樹齢600年の古木であったが、1978(昭和五三)年に強風で倒壊したという。

 

 

社殿は県民の建物百選に選ばれている。

 

 

◆概要

名称:倭文神社

鎮座地:鳥取県東伯郡湯梨浜町大字宮内754

主祭神:建葉槌命

相殿神:下照姫命、建御名方命、天稚彦命、事代主命、少彦名命、味耜高彦根命

御神徳:安産

摂末社:

古蹟:

創建:不明

祭礼日:例祭5月1日

ホームページ:伯耆一ノ宮 倭文神社

駐車場:普通車20台、バス2台

●アクセス

自動車:米子自動車道湯原ICより80分|中国自動車道院庄ICより100分|山陰道はわいICより10分

鉄道:JR西日本山陰本線松崎駅下車約3km徒歩35分|自動車5分

 

◆参考文献

『山陰の神々 古社を訪ねて』 山陰の神々刊行会 発行

『とっとり建築探訪 県民の建物百選』 「県民の建物100選」編集委員会 編 社団法人鳥取県建築士会 発行