鳥取県米子市の中心部を流れる「加茂川」」は、江戸時代には米子城の外堀の一部として、また、北前船が寄港する米子港から商家に物資を輸送する運河としての役割を果たした。

 

 

加茂川は、島根県安来市伯太町安田山形の鷲頭山を源流とする延長9.5キロメートルの一級河川で、米子市内を流れた後、中海へと注ぎ込む。

 

 

加茂川沿いには、たくさんのお地蔵さんが祀られており、毎年8月23日には、「地蔵盆」が行われている。

 

 

この地蔵盆は、子どもの安全と健やかな成長を願う祭りで、江戸時代中期から続く米子の伝統行事。

 

 

米子市を含む鳥取県西部地域1市3町がそのエリアは、中国地方最高峰の大山を中心とした地蔵信仰が盛んで、「地蔵信仰が生んだ日本最大の大山牛馬市」として、文化庁より日本遺産に認定された(※2016年4月25日発表)

 

 

古くから市民に親しまれてきた加茂川は、つい最近まで「旧加茂川」と呼ばれていた。

 

 

1966(昭和四一)年、治水対策のため、鳥取県立米子南高等学校付近で二手に分岐。その際、新たに開削された放水路を「加茂川」とし、元々の川を「旧加茂川」としてしまったため、話がややこしくなった。

 


旧加茂川は市街地を流れ、古くから市民に親しまれていることから、名称を元に戻すよう市民から要望が上がり、2019(平成三一)年1月、米子市商店街連合会や自治連合会などの10団体は「旧加茂川」周辺の水辺空間を活かした歴史・文化・観光によるまちづくりを推進する目的で、「加茂川」の名称復活を望む要望書を米子市へ提出。それを受けた米子市は、県へ同河川等の名称を変更するよう要望。一級河川の名称の変更は国の権限であることから、河川管理者として幅広く県民意見を聞くためパブリックコメントを実施した後、2020(令和二)年2月議会の議決を経て国へ名称変更を要望。

 

 

これを受けた国土交通省は、河川法第4条第1項に基づき、「旧加茂川」から「加茂川」への変更が許可され、2020(令和二年)8月5日、54年ぶりに「加茂川」の名称が復活した。

 

 

なお、「加茂川」は「新加茂川」へ、「旧加茂川放水路」は「加茂川放水路」に名称が変更された。

 

 

「加茂川」の名称復活を記念して、今月3日・文化の日、米子市立町の加茂川広場を中心に「秋の加茂川まつり」が開催された。

 

 

広場では、加茂川音頭やこども万灯が披露され、拍手喝采が秋晴れの空に響いた。

 

 

また、キーワードラリー、加茂川広場マルシェ、カヤック体験、Night Riverside cafeなどの多彩なイベントが催された。

 

 

多くの人たちが加茂川周辺に訪れて、秋晴れの一日を満喫した。