三次市三次町の中心部、石畳が敷かれた延長1.4キロメートルの「歴みち石畳通り」と呼ばれる「みよし本通り商店街」の南の端、西へと下る細い路地「松原稲荷通り」。

 

 

空き地と空き地の間、ポケットパークの横に連なる赤いトンネルが通りの名称の由来となる「松原稲荷神社」。

 

 

トリヰ、チイサイネ。

 

 

この周辺は昔、大正町と呼ばれた県北唯一お上公認の花街で、借金のカタに売られてきた女性たちが遊女に身を窶した苦界。

 

 

彼女たちの心の拠り所となったのが、馬洗川の向こう岸の岩の上に勧進された「厳島神社」。

 

 

同社に祀られている宗像三女神の一柱「市杵島姫神(イチキシマヒメ)」は、神仏習合の本地垂迹で同神に比定される弁才天で芸事の女神。

 

この弁天参りを口実に脱走を企てる者がしばしば居たため、それを防ぐ目的で松原稲荷神社が勧請されたとも伝わる。

 

 

1958(昭和三三)年の売春防止法施行以降、スナックやラウンジなどの飲み屋街として賑わっていたというが、現在、その盛り場が廃墟化。

 

 

周辺では空き家の解体が進んでいる。

 

 

そう遠くない将来、往時を感じさせる景色が変わるかもしれないね。

 

◆概要

名称:松原稲荷神社

鎮座地:広島県三次市三次町1307

御祭神:宇迦之御魂神

祭礼日:

ホームページ:

アクセス:JR三次駅より徒歩15分