江戸時代の妖怪物語『稲生物怪録(いのうもののけろく)』の舞台となった三次市三次町。

 

2014(平成二六)年末に閉館した市文化会館跡地に、同市が12億6,500万円を費やして日本初の妖怪博物館「湯本豪一記念 日本妖怪博物館」(愛称:三次もののけミュージアム)を建設。

 

 

日本屈指の妖怪コレクターとして知られる湯本豪一(ゆもとこういち)氏の膨大なコレクション約5,000点の寄贈を受けて今年4月26日開館。

 

 

絵巻物や図画、工芸品などの資料展示のほか、最新のデジタル技術を駆使したアトラクションなどを楽しむことができる。

 

私事、10月上旬、秋晴れの空の下、三次もののけミュージアムを訪う。

 

 

同館の背後にそびえる比熊山の頂上付近に鎮座する「神籠石(こうごいし)」には神が宿るとされ、触ると祟りに見舞われると伝わる。

 

 

1749(寛延二)年5月末真夜中、稲生平太郎は相撲取り三井権八と比熊山に登って肝試しを敢行。神籠石に木札を結んだところ、7月1日に稲生家屋敷に魔王が現われた。以降1ヶ月に渡って様々な妖怪が平太郎を襲うようになったという。

 

 

その怪異を取りまとめたものが『稲生物怪録』。

 

営業開始間もない同館はほぼ貸切り状態で、ゆっくりと展示物を鑑賞。充分に堪能して展示室から出たところで、入れ替わりに怒涛の如く押し寄せてくる妖怪、ではなく、高齢者の集団。大型観光バス3台が到着、それに分乗していた団体客が一気に入館した模様。

 

 

平日にもかかわらず館内は身動きがとれないほどのにぎわいを目の当たりにすれば、初年度10万人の入館目標を5カ月突破したのも頷ける。

 

この場所に1890(明治二三)年、監獄が建設された。1916(大正五)年、女子受刑者収容監獄に指定。以降、1951(昭和二六)年まで女子刑務所としての役割を果たしてきた。1967(昭和四二)年に広島刑務所三次拘置支所に改称。2010(平成二二)年に建替えられるまで、高さ4~4.5メートルの土塀が約60メートルに渡って残っていたという。

 

 

当館から約400メートル北、比熊山の東に立地する稲生家屋敷跡(現広島法務局三次支局)に「稲生武太夫(平太郎)碑」が1928(昭和三)年に建立されている。

 

 

◆施設概要

名称:湯本豪一記念 日本妖怪博物館 三次もののけミュージアム

所在地:広島県三次市三次町1691‐4

TEL:0824-69-0111

開館時間:午前9時30分~午後5時00分

休館日:毎週水曜※祝祭日の場合翌日、年末年始(12月29日~1月3日)

入館料:大人600円、大学生・高校生400円、中学生・小学生200円 ※団体(20人以上)割引制度有

ホームページ:

湯本豪一記念 日本妖怪博物館 三次もののけミュージアム

三次もののけミュージアム

駐車場:無料

●アクセス
自動車:中国自動車道三次ICから15分、尾道松江線三次東IC・JCTから10分※松江市内から約90分