JR境港駅前で美味しそうにスイカを食む黒い影。

 

 

死神といえば人魂のような形をした霊魂を手に持つ姿を連想するが、なぜ死神がスイカを食んでいるのか?

 

 

水木作品での死神の初出は貸本版『河童の三平』で、その大好物がスイカだから。

 

死神は霊魂を食べて生きているわけではなく、上司の閻魔大王にせっせと集めた霊魂を納めることが仕事。

 

 

ブロンズ像の足下の袋にそれが入っているはず。

 

 

〽お化けにゃ会社も仕事も何にもない、と、主題歌に唄われているが、過重なノルマに追われ苦しむ一介のサラリーマンにすぎない。

 

 

現実はキビシイね。

 

死神はアニメ第2シリーズ『ゲゲゲの鬼太郎』では後半5回、準レギュラーとして登場。

 

『ゲゲゲの鬼太郎』へ初登場は、1971年11月14日発行の週刊『少年サンデー』(小学館)。アニメ第2シリーズ『ゲゲゲの鬼太郎』の原作となるのはそれより前に発表された『サラリーマン死神シリーズ』・「枯れ葉」(『ビッグコミック』 小学館 1969年1月1日発行)、「涙のノルマ」(『ビッグコミック』 小学館 1969年2月1日発行)、「蒸発」(『ビッグコミック』 小学館 1969年3月1日発行)、「ねたみ」(『ビッグコミック』 小学館 1969年4月1日発行)。

アニメ第2シリーズに登場した死神の性格は、どちらかというとお人よしで、たまに悪巧みをめぐらすこともあるが、その性格が災いしてかトホホな結末を迎えることが多く、小狡いところはあるが根っからの悪人ではないのだろう。

 

水木しげるロードの「死神の張子」に関して「死を呼ぶ死神のオブジェ」といった都市伝説が2000年代初めからインターネット上で流布されている。

 

 

“水木しげる記念館に隣県の個人制作者から死神をモチーフにした張子が送られてきた。それは水木しげるロードのある店の前に展示されたが数日後、その店の家族から死者が出た。このため別の場所に移されたが、そこでもまた死者が出た。それの展示は中止されることになったが、物好きな者が自分のところに置いてもいいと言い出し、三度展示された。ところが、その家からも死者が出たため、それは現在、神社に安置されている”

 

これは当地にて8月を「霊在り月」と称したまちおこしの一環事業で実施された妖怪に関するイベントのひとつ、1999年から2004年まで開催された「妖怪オブジェコンクール」での作品。

 

妖怪オブジェは針金などで骨組みを作り、その上にモルタルを盛って作られた本格的な立体作品。当イベントはお盆の3日間開催され、その出来を競い合うも。水木先生が審査を務めていたこともあり、全国から集まった学生や会社員たちが集まり、境港の人たちが協力して多くの作品が制作された。これが記念館前の本町アーケドに展示された経緯は、上記でも述べたように、空き店舗対策やにぎわい創出といった「まちおこし」としての企画の一環で、それが撤去された経緯は、オブジェのフレームの四隅が鋭利で、頭などをぶつけてケガをする可能性を指摘され、安全面を考慮しての処置。

 

取り外されたオブジェは市が保管していたということだが、2000年10月6日13時30分18秒に発生した「鳥取県西部地震」での「死神」に関するエピソードから現在の場所に移転されたことと関係しているのではないかと推測される。

 

 

「鳥取県西部地震」は、米子市の南方約20キロメートルを震源としたマグニチュード7.2の地震で、境港市内で最大震度6強を記録。水木しげるロードも激震に襲われたが、妖怪神社となりの「手づくり工芸館 むじゃら」の死神の人形が壊れたぐらいで、ロードではまったくといってよいほど被害に見舞われることがなかった。このため水木しげるロード沿いの人たちの中には、「災いを死神がひとりで背負ってくれた」と、死神に感謝したと伝わる。

 

 

このような経緯から、件の死神の張子とされるものが妖怪神社の裏にある「手づくり工芸館 むじゃら」の壁に移転されたのではないか。

 

魔猫が招く妖怪神社裏で、きょうも死神がキミたちを待っている。

 


水木作品に登場する死神は、人のよさが災いして失敗ばかり。いつもノルマに追われ、その営業成績は決してよいとはいえず、むしろ上司である閻魔大王からのリストラを心配するほどの不振ぶり。

 

 

このため、水木しげるロードで死神に出会うと却って長生きできるという。

 

 

次回の『ゲゲゲの鬼太郎』第66話「死神と境港の隠れ里」は、28日あさ9時から。

 

 

ひと足先に死神と庄司おじさんが共演してる、、、!!!

 

 

夏祭りの晩、隠れ座頭が現われそうな雰囲気がぷ――――んと漂う鳥取県道52号岸本江府線(広域農道)を脇に入って山あいの渓谷を跨ぐように走る南大山地区基幹農道から見える谷底集落。

 

 

鳥取の隠れ里は、山ではなくて境港の海にあるという。

 

第73回境港みなと祭花火大会 2018.07.22

 

なお、境港みなと祭は先週の日曜日に開催済。次の日曜日には米子がいな祭が開催される。

 

米子がいな祭花火大会 2015.08.09

 

死神と隠れ座頭に注意!!

 

 

◆初出

貸本版『河童の三平』第2話「水泳大会と死神の巻」(原作『河童の三平』第2巻 1961年 兎月書房発行)

「死神」 『週刊少年サンデー』 1971年11月14日号 小学館発行

◆アニメ版概要

第2シリーズ 第30話「死神」 1972年5月4日放送 (声 神山卓三)

第2シリーズ 第34話「死神とサトリ」 1972年6月15日放送 (声 神山卓三)

第2シリーズ 第38話「隠れ里の死神」 1972年7月20日放送 (声 神山卓三)

第2シリーズ 第42話「死神と貧乏神」 1972年8月24日放送 (声 神山卓三)

第2シリーズ 第45話「死神のノルマ」 1972年9月28日放送 (声 神山卓三)

第3シリーズ 第44話「あの世からの使者死神」 1986年9月13日放送 (声 あずさ欣平)

第4シリーズ 第114話「絶対絶命!死神の罠」 1998年3月29日放送 (声 塩沢兼人)

第5シリーズ 第35話「死神の極楽ツアー」 2007年12月2日放送 (声 田中秀幸)

第6シリーズ 第66話「死神と境港の隠れ里」 2018年7月28日 (声 )

 

◆第2シリーズ原作対照一覧

製作No.30「死神」(原作「死神」 『少年サンデー』 小学館 1971年11月14日発行)

製作No.34「死神とサトリ」(原作「ねたみ」 『ビッグコミック』 小学館 1969年4月1日発行)

製作No.38「隠れ里の死神」(原作(蒸発 『ビッグコミック』 小学館 1969年3月1日発行)

製作No.42「死神と貧乏神」(原作「枯れ葉」 『ビッグコミック』 小学館 1969年1月1日発行)

製作No.45「死神のノルマ」(原作「涙のノルマ」 『ビッグコミック』 小学館 1969年2月1日発行)

 

◆参考資料

『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』 水木しげる 著 講談社 発行

『日本妖怪大事典』 水木しげる 画 村上健司 編著 角川書店 発行

『鬼太郎くんの仲間たち 妖怪「対比」図鑑』 水木しげる 監修 やのまん 発行

『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎完全読本』 1週間編集部 編 講談社 発行

『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎マニアックス』 一迅社 発行

『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪ファイル』 水木しげる 著 講談社 発行