会社から帰宅の途上、島根県道260号本庄福富松江線より右手に見える気になっていた景色。

 

 

中海に浮かぶ松林とその背後にそびえる大山。

 

 

ひと月ほど前に行ってみた。

 

 

わざわざ大雪が降った後に(笑)

 

松林が立地する松江市大海崎町は、大海崎漁港を有する小さな漁村といった趣き。

 

 

集落の先、中海に突き出た突堤の先に数本の松の古木。

 

 

その真ん中に石の祠と一対の狛犬さん。

 

 

御祭神は不明とされていますが、地区の人たちは「リンゴンさん(龍神様)」と呼んで手厚くお祀りしている。

 

古代において松江城周辺は沼地で人が住んでおらず、それよりも東の朝酌、大井、大海崎の周辺が栄えていたと推測される。

 

ここは『出雲國風土記』に見える「前原埼(さきはらのさき)比定地」とされており、時節ごとに近郷近在から男女が飲食物を持参してここに集まり、歌舞飲食が行われ、歌の掛け合いを通して親しくなったとある。

 

 

歌を掛け合う「歌垣(うたがき)」は、記・紀や各国の風土記、「万葉集」などにもみられる。現代でいうところの「婚活パーティー」に該当するもので、同様のことが日本各地の山野や水辺、市や巷などで行われていたと考えられる。

 

 

日本における婚姻適齢は民法731条で男性18歳・女性16歳とされているが、現代では晩婚化が進み、厚生労働省の統計(平成27年度)では、平均婚姻年齢は男性33.3歳、女性31.1歳。

 

一方、奈良時代においては、律令のうち戸令によって婚姻が許可される年齢は男子15歳・女子13歳(※いずれも数え年)以上と定められていた。

 

現代においては良縁を求めて右を見ても婚活、左を見ても婚活と実に喧しいですが、古代においても良縁を求めて大山を望む水辺の景勝地に若い男女が集まり時間を忘れて歌舞飲食を楽しみ、歌垣という婚活に勤しんでいたということを想像すると、千年以上経っても人間はそう変わらないものだと改めて認識。

 

 

◆概要

名称:大海崎龍宮神社

鎮座地:島根県松江市大海崎町143の先

御祭神:不明

祭礼日:例祭4月

駐車場:近隣に可

ホームページ:なし

アクセス

自動車:JR境港駅より江島・大根島経由約25分

バス:松江駅より八束町行バス(第4路線)乗車約35~40分、大海崎下車徒歩3分

 

◆参考文献

「社☆ガール通信」第15号 社☆ガール事務所 発行

「山陰中央新報」2017年2月18日19面-謎解きいにしえの島根●41〇古代人の婚活- 佐藤雄一・島根県古代文化センター研究員 著 山陰中央新報社 発行