瀬戸内海に浮かぶ小豆島のほぼ中央に位置する中山間地域「中山の郷」。標高150~250mにかけての斜面8.8haに見られる大小約800枚の棚田は「日本の棚田百選」のひとつで、南北朝時代から江戸時代中期にかけて造られたものだと伝わります。

 

中山千枚田 2016.05.20
中山千枚田 2016.05.20
中山千枚田 2016.05.20
中山千枚田 2016.05.20

 

棚田の上に位置する小豆島霊場第四十四番札所「湯船山蓮華寺」境内の「湯船の名水」は「名水百選(昭和の名水百選)」のひとつです。その湧水量は1日に約600トンにも及び、豊かで清らかな水は下流の棚田や里を潤しています。

 

中山千枚田 2016.05.28
中山千枚田 2016.05.28

 

山肌沿いに広がる棚田を中心にして、豊富な湧水や清流、点在する民家で構成された中山の郷は、「美しい日本の歴史的風土100選」や「にほんの里100選」のひとつに数えられる日本の原風景が残る里山です。

 

中山千枚田 2016.05.28
中山千枚田 2016.05.28
中山千枚田 2016.05.28

 

棚田を横断する香川県道252号上庄池田線の中山集落入口付近に「中山農村歌舞伎舞台」があります。茅葺寄棟造の同舞台は、天保年間以前に琴平の旧金丸座を参考に建てられたものです、五穀豊穣の奉納歌舞伎が毎年10月上旬に上演されます。

 

中山農村歌舞伎舞台・こまめ食堂 2016.05.28

 

島内全域においてイノシシによる農作物被害が深刻で、ここ棚田の縁にも害獣防止の柵が設けられていますが、ホモサピエンスの出入りは自由です。

 

中山千枚田 2016.05.28
中山千枚田 2016.05.28

 

なお、山中に潜むのはイノシシやシカ、ヘビなどの生き物だけではありません。当地山中には1587(天正一五)年、豊臣秀吉によるバテレン追放令によって国を追われたG・S・オルガンティノ神父やキリシタン大名の高山右近らが領主であった小西行長に保護され潜伏していたと伝わります。