明日からいよいよ「電気けいれん療法」が始まる。

 とはいっても、前の病院で経験済みだし、別に不安もないのだけど、

 前々日に看護師さんから説明があった。

 

 「売店で紙おむつと着圧ソックスがあるので買っておいてください。あす午前9時前にはストレッチャーでお迎えにきますので、それまでにトイレを済ませて、おむつとソックスを履いて待っていてください」

 

 「え?紙おむつ?ソックス?」

 

 私は???状態。前回の病院ではそんなものいらなかった。

 

 「はい。おむつは売店で1枚から購入可能ですので。当日朝に、履けないことがないように、一度試し履きしておくといいですよ」

 

 その2つのアイテムは何のためか、とも聞こうとしたが別にいいやと思った。

 

 勝手に、電気けいれんの時に失禁するひとがいる、もしくは、施術後に麻酔で眠っている間などに失禁、もしくは、意識がもどったとしてもふらふらして動けない患者もいるのかもと思うと、おむつをつけておけ、ということなのだろう。

  

 着圧ソックスはなんでだろう。

 調べると「長時間麻酔などで横になっていて血栓ができるのを防ぐため」とある。

 

 へぇ、その病院によって「お作法がちがうんだな」と感心した。

 

 ナースステーションで「明日ECTを受けるのに、おむつをなどを買いに売店にいきたいです」というと、看護師さんが2重カギとびらを開けてくれた。

 

 付き添いも、もちろんいらない状態。

 

 はじめて売店にいって「すみません、大人用おむつLサイズと、着圧ソックスください」

 慣れた様子で「はいどうぞ」的に出てきた。

 

 帰りにタリーズが見えた。MRIが無事に終わったらソイラテを飲もう、と思っていたのにいまだに行っていない。

 

 「金を稼いでもいないのに、復職できるかもわからないのにそんな贅沢なものは飲めない」病が発動していた。

 

 タリーズの前には机やテーブルがあって、外来のひとも入院のひともいるのであるが、みんなマスク。

 その中に、病棟でみたパンク系じいさんがいた。何回か病棟で話したことがあった。

 

 「おっ」と私のことを認識して「買い物?」と。

 

 「そうなんです、あした電気けいれん受けるのでその買い物で」

 

 パンクおじさんは、自動販売機の前にいって振り返り、「飲む?水?」と言われた。

 

 「え?」

 

 「この自動販売機さ、ただで水出てくんの。おれいつもこれ」

 

 その自販機は紙コップでコーヒーとかジュースとか出る方式なのだが確かに「水」だけのボタンがある。

 

 「水、ただでのめるんですか」

 

 「冷えててうまいぞー」というので、私も押した。

 

 おいしかった。