また、久しぶりにしれっと1話更新します。

 

 

 退院前に受けておきたかったのが心理テストだった。他の患者さんが受けているのをみて、S医師にリクエストした。

 

 結構大きな病院なのに、臨床心理士は非常勤が1人のみ。ここからもこの病院が薬物治療のみの方針かがわかるのだが、予約がなかなか取れないらしく、検査結果は、退院後の通院時になると思うと言われたが、それでも、と。

 

 そして、ぱっと空きがあり、検査は「明日」となった。

 

 ※これから心理テストを受けるという方は結果の正確性に問題が出るので、この回は飛ばしてください!

 

 翌日、指定された時間に面会室にいくと、小柄な30代前半くらいの白衣姿の女性に迎い入れられた。

 検査は2日にわけて行われること、など説明があった。

 

 「きょうは、主にIQテストをしてもらいます」

 

 友人からは、このIQテストがかなり疲れるから覚悟しなと言われていたが、本当に疲れた。

 日本三大●●問われたり、数の暗証、画の通りに積木を積む(心理士は、私のリアクションや、かかった秒数などをメモしていく)といったことを繰り返す。

 

 最後のほうはもうぐったりで、退院前の回復した時期だったから耐えられたけど、これ入院初期にやっていたらすべて「茫然」だと思う。

 IQテストに関しては私の病気に関していうと、「一応」やっておくという感じだった。

 気になるその数値ですが、ま、いいでしょう。置いておきます。

 

 帰りに渡されたのは「SCT=文章完成法」の2枚。

 次回の心理テストまでに完成させてきてください、と。

 

 これは何かというと、パート1とパート2に分かれているが、

 たとえば、

 1、子どもの頃、私は_________________________________________________________________________________________________________

 

と文章の書き出しだけかいてあり、2行分白紙なのだ。そこに作文をしていく。 

 

 私は、こういうのは、あんまり考えだしたらきりがないから、あえてボールペンで一気に書き上げていった。その日中に。

 

 書き出しはいろいろあった。

 「私の失敗」

 「女」

 「死」

 「私の父は」

 「私が羨ましいのは」

 「もう一度やり直せるなら」 

 

 いま読み返しても、発症するまで、幼少期を含めて人生はとても幸せだったこと、仕事も充実していたこと、そこにやりがいを感じ、今も自分に大きな影響を残していること、結婚して家族にも恵まれたこと、など自己肯定的に書かれている。

 そして、家族を幸せにしたい、という強い思いも。

 

 しかし、圧倒的に多いのが「どうして私は―――――まわりの人たちができてているように子ども二人を育てることや家事ができないんだろう」

や、「時々私は――――――― 2人の子どもを全うにそだてながら、彼らの要望に応えつつ仕事をしていけるのか不安になる。いや、時々ではなくある種“いつもだ”」

 

 といった仕事はやめたくない、でも家事や育児もみんなやっているんだもん、できないという思いがわんさかあふれかえっている。

 

 退院後、通院時に先生が「内緒ね」といってコピーしてくれた心理士さんの評価でも

 

 「仕事でバリバリとやっていた自分に対する思いも強くのこっていて、貢献されること・承認されることが大きな価値観となっている」

 「現在の子育てと仕事が両立できないことが自信喪失になっていて葛藤である」

 「本人も述べていたが、子どもは思い通りには動かない、自分の頑張りではどうしようもない、コントロールできない状況が患者にとってはストレスで喪失感が大きい」

 

 といったことが書いてあった。はい、そん通りです。子どもは仕事のようにコントロールできない、だから最大限、彼らに寄り添い受け止めてあげないと、そう思っていた。笑顔で目を見て、「どうしたの?」 いや、今も思っている。行動するほど空回りするのだ。

 

 そしてやってきた、心理テスト2日目。

 ロールシャッハテストといって、インクがにじんだような画をみせられて、何が見えるかと答えていくテスト。

 ここで、わたしらしいなという勝手な思い込み。

 

 この画に対しては、答えは1個でも2個でも無回答でもいいのだ。しかし、私は、結構面白くて、この部分はおじいさんに見える、とか、ここは蝶に見えるとか、めちゃめちゃ探し出してしまい、はっきりいって心理士さんもうんざりだったと思う。

 

 それを「自分の能力を高く見せたい傾向も出ていて、頑張りすぎてつじつまを合わせるために苦労し、弱音を吐くのが苦手。適度に手を抜くことができない」とばっさり。すんません。

 

 もう退院間近ということもあるのだろう、「抑うつ傾向は今回の検査ではなし」

 

「ただ、自分の達成欲求と不安のアンバランスさが大きく、子育てのように情緒的なかかわりが多く、2人になりすべてに対処できなくなったことがバランスを崩されたと推察される」

 

 と〆られていた。実際にはもっと詳細にいろんなこと書いてあるんですけどね。小さきものよ。

 

 次回、そして来た「家族カンファレンスの日」