お天気の良い午後
家の鍵と
小さなおにぎりと
冷たくしたコーヒーをポシェットに入れると
他には何にも入らなかったので
財布も携帯も置いて出かけました。
何というか
スマホを持ってないだけで
すごい良いチャレンジをしてるような気分になるのは不思議。
ただ持ってきてないだけなのに。
勘違いも甚だしいってやつですよ。
今、ここで私が行方不明になったら…
事故にあったら
私が私と証明するものは何にもないんだなあ…
とか思ってみたりする。
鍵があるな。と思ったけど、私の家が特定される情報はついてなさそう。
昔ってどうしていたっけ。
あ、でも名前が書いてあるものは何か持っていたのかな。
そんなことを思ったら
今、事故にあったら身元不明か…どうしよう。
と少し不安になった。
不安になったあと
でも、今の私は名前すらない何でもない存在。
って気分になったら
何もかもから解放された。
もう、何でもない私は
実は周りからも見えない透明人間だったりして。
そんな大層なことまで考えてみる。
たかがスマホを家に置いてきただけで。
分岐点があったら行きたい方に歩いてみる。
あ!そういえば桜さいてるかな?
川沿いに向かう。
満開じゃないけど咲いてる。咲いてる。
てくてく歩く。
疲れたらベンチに座る。
おにぎりを食べる。
中にタラコを入れたの大正解。
たくさん歩いたから
しょっぱいのがおいしい。
コーヒーも冷たくておいしい。
目の前に大きな木がある。
ここは前に来たことある。
携帯がないと色んなことに気がつく。
私は本当に頭の中のおしゃべりが多いな。
ってことも。
風が吹いて
鳥が鳴いて
人がすれ違う
会話の端っこが流れていく
ザッザッ足音
お腹の大きな猫
なんだろうなあ。
私は今ものすごーく幸せを感じている。
なあんだ。
幸せってこんなに簡単なのか。
とは言え
そう思えない時があることも
もう私は知ってしまってるんだけど
毎日がこうだったら、この感動が薄れてしまう日が来ることも知ってしまってるんだけど
でも
知ってしまっていても
こうして幸せを感じられる私は幸せだ。
遠くに山に続く階段が見える。
きっとあそこを登る私は
大変なんだろうな。
って思いながら、そこに向かう。
数分後、さっきまで
あそこを登る私は大変なんだろうな。って思ってた階段を登って、そう思っていただろう場所を見下ろす。
きれいだな。
黄緑 黄色 薄いピンク
春の色々。
そのまま、過去の私が預言した通り
息切れしながら山の上の公園に登る。
ずいぶん前に来たなあ。ここ。
懐かしいなあ。
って思いながら歩く。
夕暮れ。
坂道を下って
住宅地
行きに通った道
歩いてまわれる場所なのに
遠足に行ったくらいの満足感。
最後はスマホを持ってないから
どうとかも思わなかった。
持ってるか持ってないかは
どっちでも良くて
今日は良い日だなあ。
歩くのはやっぱり良いね!
だった。
また行きたいなあ。
毎日行きたい。
だけど今日という日は今日しかなくて
だから、今日は
ただの日常じゃなくて
特別な1日。
今日だけの今日を大事にしたい