【家族】 ~13歳~②
2回目の母の悲痛な叫びを聞いた。。
何事か?!と慌てて見ると...
親父が兄貴を馬乗りになりボコボコにしていた。。。
「やめて!!!!!!!」
初めて無意識に感情が先走り俺は叫んだ。
母が泣きながら必死に兄貴を体で覆ってかばい、なんとか事は済んだが、直後に兄貴が叫んだ。
「売れてもねぇ、実力もねぇ、才能も何もねぇくせに偉そうによぉ!!!」
兄貴が感情的に思いっきり泣き叫ぶ姿を初めて見た...。
それを聞いた親父は、突如に泣き崩れ部屋に戻ってしまった、、、
いつもニコニコしている父親の荒れた姿も初めて見た。
...俺は恐る恐る兄貴に近づき震えた声で「...大丈夫?」
と声をかけたが兄貴も溢れ出る涙を腕で払い走って自分の部屋に戻ってしまった。。
今度は親父が心配になり部屋へ様子を見に行くと...、
俺は顔を伺うのが怖かったため、半開きになっているドアの隙間からこっそりと部屋を覗いた。
母が父親を慰めていた。
「どうして!...、どうして誰も理解してくれないんだ!...どうして何も理解してくれないんだ!どうしてみんな僕を批判するんだ!僕はただ、ただ...」
彼は泣きじゃくりながら下手な日本語を必死に使い叫んでいた...。
彼の本当の”心”の叫びだった...。
父親は”売れない”ミュージシャンだった。
彼の本職は”ジャズ”奏者だったが、日本ではまだその頃ジャズ音楽の浸透も薄く、
日本語が上手でない彼はそれだけで仕事をもらえず、後に聞いた話だがそれが原因で”言葉”にうまく騙されて無賃労働をさせられたこともあった。
また、実は父親は、俺ら3人が有名洋楽バンドのDVDを毎日見て一緒に歌ったり、
「かっこいいねー!」
と言っているのに対しほんとは良い顔をしていなかった...。
「同業者(ミュージシャン)」である彼にとって”音楽に生きる”こと、”世界へ羽ばたく”こと、
その難しさを誰よりも最も知っていたのは...”父親”本人だった。
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