さて、今回はかなり砕けた話です。
膣内異物。
解かり易く説明すると、本来、膣内にないものが入っている状態。
人間というか動物の本能でしょうか?
穴があれば物を入れたくなる行動が。
勿論、膣内異物があれば産婦人科に受診されるのですが、異物を
入れられる行為はおおむね夜間それも深夜に多いのです。
受診される時間は普通の方なら楽しい夢をみている頃です。
私もお産とか入っていなければ体力を回復させている時間帯です。
たまのビール1杯ひっかけている時間帯かも知れません。
(開業してからは深酒は出来ませんから)
1本の電話で、
自分だけの世界から追い出されてしまうのです。
お産とか病気での救急なら全然問題ないのですが。
はあ~って感じですかね。
具体例として・・・
(その1) タンポン
一番多いのがこれ。
タンポンのひもが切れたとかひもが膣内にはいってしまったとか。
豪快なご婦人は1ヶ月以上も入れたままで忘れてしまって、
おりものに臭いがするということで受診されます。
長期間入れていた方の膣内臭は癌臭に似ていて凄い臭いが部屋中
に立ち込めます。
診療を一時ストップして、窓全開。換気扇全開。
(子宮頚部癌(末期)では、なんとも言えない悪臭があります。)
治療は洗浄と炎症が強ければ抗生剤を投与します。
タンポンでは、さすがに深夜に来れれる患者さんは少なく、
ちゃんと診療時間内に来られます。
(その2) コンドーム
これも、タンポンに次いで多い。
妊娠したくないので、コンドームを使用する。
コンドームが膣内に入っちゃうと、精液が漏れるので
妊娠の可能が出てくる。
→急いで産婦人科へということになる。
洗浄して、受胎可能時期であれば避妊用ピルを処方する。
(その3) 裸電球
裸電球を膣内に入れて楽しまれるご婦人やパートナーが
いるみたいです。
ちょうど形がいいのでしょうか?
ガラスが割れていない場合はすんなりと取れるのですが、
大変なのは中で割れてしまい、出血されている症例です。
特に未産婦のご夫人の場合には膣が十分に拡張しないので、
血液を吸引しながら、出血の海の膣から、ガラス片をピンセット
で1つずつ除去していきます。膣粘膜より奥(腹腔内・膀胱内・
直腸内)にまで、達していないか、破片は残っていないかを
触診で確認しながらの作業です。
全部除去してから縫合に入りますが、狭い場所での縫合は
極めて困難です。
全て終了するのに2時間ほどかかったこともあります。
終わった頃、緊張がほぐれた時に、夜が白ずんできて、
一体、この時間は何だったんだろうって、自問自答してしまう。
(その4) りかちゃん人形などの頭
これはさほど問題にはならないが、一度、クスコ(膣を拡げる機器)
を膣内に挿入した途端、診察室の床にりかちゃん人形の頭が転がって
しまった。看護師さん達が笑いをこらえるのが大変そうでした。
(その5) たまご
結構多いのがこの卵。
殻付きの生卵の場合、膣内で割れてしまっても、傷がついてなければ
それほど大変なことありません。
ゆで卵の場合、割れていなければ問題はないのですが、割れてしまって
いる場合、黄身が膣壁に付着してしまい、これがなかなか取れない。
綺麗にとってあげないと、これまたすごい悪臭があります。
まだまだあるので、続きは次回に。