子宮筋腫 Part4 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

6、子宮筋腫の変性の種類は?
 子宮筋腫は以下のような続発性変化つまり変性を起こします。

<良性変化>
①硝子様変性(約65%):古い平滑筋腫にはしばしば黄色の柔らかいゼラチン様部分がみられます。
②粘液変性(約15%):筋腫の硝子化が進むと筋腫自体が粘液状に変化することがあります。
③石灰化(約10%):特に漿膜下筋腫では血行障害によりカルシウム沈着がおこり石灰化が起こりやすくなります。
④肉様変性:静脈の血栓症やうっ血により筋腫の間質成分に出血がおこる状態です。赤色変性ともよばれ妊娠中によくみられます。
⑤嚢胞変性:筋腫の硝子化が進むと筋腫自体が液化して嚢胞を形成することがあります。
⑥脂肪変性:筋腫の硝子化が進むと筋腫自体が脂肪状に変化することがあります。
⑦萎縮:閉経や妊娠後に腫瘍サイズが縮小し、兆候や症状が軽快したり消失したりします。
⑧敗血症性変化:血行障害により中心部が壊死に陥り、感染を併発すると疼痛・圧痛・発熱を引き起こします。

<悪性変化>
 良性の成熟平滑筋腫が悪性の肉腫様変化をするのか、新しく平滑筋肉腫が発生するのかは不明です。一部に平滑筋腫の0.5%が肉腫様変化をするとの報告もありますが、真偽は定かではありません。

7、子宮筋腫は不妊症の原因となるのでしょうか?
 一般的に子宮筋腫は不妊症のおもな原因とは考えられません。もし筋腫が影響を与えるとすれば、筋腫による子宮内腔の変形が習慣性流産に結びつく可能性があるという点です。

 しかし、子宮筋腫が子宮頚管あるいは卵管間質部に機械的な閉塞を起こし不妊の原因となることはあります。また子宮後壁の筋腫は着床障害の原因となりうるという報告もあります。


 今回の記事は産婦人科シークレットの内容を参考にして記載しておりますが、内容はオリジナルです。
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