最近、遠藤幸三先生の「実地婦人科手術 第3版」を越えるすばらしい手術書に出会えましたので紹介しておきます。メジカルビュー社のOGS nowシリーズです。
私自身は周産期医療を中心に診療を行っていますが、これまでも婦人科悪性腫瘍の手術は機会あるごとに上級医から指導を受けつつ学んできました。その時に使用していたのが遠藤幸三先生の「実地婦人科手術 第3版」であり、手術のDVDでした。手術のDVDを見ながら本を読み、本を読んでから手術のDVDを見、そして実地の手術で上司の指導のもと実践しつつ確認していくことで手術手技をマスターしてきました。
今年に入ってから諸事情があって、私自身が若手医師とともに子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌・外陰癌といった婦人科悪性腫瘍の手術を執刀する機会が激増しました。もちろん昨年までも年に10例程度の悪性腫瘍の手術の執刀はしていたわけですが、その際には必ず上級医の指導・監督があったわけです。しかし、今年からはそれがほとんどありません。
そこでこれを機会に、自信をもって安全かつ確実な手術ができるように、婦人科悪性腫瘍の手術を改めて学び直すことにしました。そして購入したのが「子宮頸癌・外陰癌の手術―理論と実際 (OGS NOW No. 5)」と「子宮体癌・卵巣癌の手術―基本術式と腫瘍進展に応じた戦略 (OGS NOW No. 6)」の2冊です。
子宮頸癌・外陰癌の手術―理論と実際 (OGS NOW No. 5)/著者不明
¥12,600
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子宮体癌・卵巣癌の手術―基本術式と腫瘍進展に応じた戦略 (OGS NOW No. 6)/著者不明
¥12,600
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これら2冊はいずれも図が豊富で分かりやすく記載されています。しかも時代の流れにあった機能温存手術や逆に拡大手術についても詳しく取りあげられています。2冊とも今年に入って一気に読み込みました。そして婦人科悪性腫瘍の手術の前日には確認のためサッと目を通すことにしています。もちろん、手術のDVDも併用しています。
このOGS nowシリーズですが、上記の2冊がすばらしかったので、シリーズの残りはどうかと思って後輩の若手医師が持っているものにサッと目を通してみました。残りのOGS nowシリーズの中で若手医師にとってお勧めなのは以下の5冊になります。いずれも図が豊富で分かりやすく手術を学ぶにふさわしい手術書と言えます。
開腹・閉腹と付属器手術―基本手技の完全マスター (OGS NOW No. 1)です。
開腹・閉腹と付属器手術―基本手技の完全マスター (OGS NOW No. 1)/著者不明
¥12,600
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腹式単純子宮全摘術―必須術式の完全マスター (OGS NOW No. 2)です。
腹式単純子宮全摘術―必須術式の完全マスター (OGS NOW No. 2)/著者不明
¥12,600
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帝王切開術―基本と応用まるごとマスター (OGS NOW No. 3)です。
帝王切開術―基本と応用まるごとマスター (OGS NOW)/著者不明
¥12,600
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産科手術―必須術式の完全マスター (OGS NOW No. 4)です。
産科手術―必須術式の完全マスター (OGS NOW No. 4)/著者不明
¥12,600
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骨盤臓器脱の手術―正しい診断と適切な術式の選択 (OGS NOW No. 8)です。
骨盤臓器脱の手術―正しい診断と適切な術式の選択 (OGS NOW No. 8)/著者不明
¥12,600
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産科手術―必須術式の完全マスター (OGS NOW No. 4)に関しては、前回紹介したすでに絶版となっている「産科手術」という本の方が鉗子分娩・骨盤位分娩を学ぶにはふさわしいと思うのですが、流産手術や子宮頚管縫縮術も取りあげられており、今手に入る手術書としては一番ではないでしょうか。
まずは上記1~4・8の5冊をマスターし、経験とともに5・6の2冊をマスターしていくというステップになることでしょう。
あと、OGS NOW No. 7・9・10が出ていますが、手術をこれから学ぶ人にとって必須とは言えないと思います。7に関しては特別な症例でのみ行う手術の解説書になっていますし、9・10に関しては前置胎盤と産科出血のみを取りあげており、必ずしも手術書という構成にはなっていないからです。
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