![産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ-分娩鉗子](https://stat.ameba.jp/user_images/20110323/19/sanfujin/a3/a7/j/t02200113_0800041211121509853.jpg?caw=800)
鉗子分娩の流れを図に示します。
まず、十分な内診(開大度・下降度・回旋・大泉門と小泉門の位置)を行って鉗子分娩の適応と要約(以前に紹介済みです)を満たしているかどうかを判断します。私自身は胎児の耳を触れることで胎児の下降度と回旋を判断するのが一番確実だと思っています。鉗子を挿入する前に児頭に鉗子が装着された状態をイメージし、児の娩出方法をシュミレーションすることが大切です。
鉗子は原則として左葉(母体の左側に入る)から挿入し、次に右葉(母体の右側に入る)を挿入します。適切な部位・方向に鉗子が挿入された場合、抵抗はほとんどなく鉗子の重みのみで滑り込むようにスムースに挿入できるはずです。
正しく鉗子が装着されていれば左葉と右葉は正中でしっかりと接合するはずですので、これを確認します。
その後、陣痛の間欠期に軽く試験牽引を行い鉗子が滑脱しないことを確認します。
陣痛・怒責にあわせて牽引を開始します。図に示したように児頭の高さに合わせて牽引する方向を変える必要があります。もちろん骨盤誘導線にそって牽引するのがベストです。この際にお腹を押すクリステル胎児圧出法を併用することがあります。吸引分娩と違い鉗子分娩では骨盤誘導線の方向は分かりやすいです。鉗子が正しく装着されていれば、鉗子の30度下方向が骨盤誘導線の方向だからです。
児頭が発露になったら牽引は中止(終了)し、鉗子を外します。
鉗子分娩における原則です。
①やむを得ない場合を除き、陣痛や怒責にあわせてゆっくり持続的に牽引します。
②1回の牽引で娩出させることが大前提となります。
③断続的・衝動的牽引や体重をかけての牽引は決して行ってはいけません。
④鉗子で牽引しても児頭の下降がみられない場合や抵抗が大きい場合には無理せず帝王切開に変更する必要があります。
なお、本文はオリジナルのものですが、画像中に使用しているイラストは“病気がみえるシリーズvol.10の産科”から引用しました。
病気がみえる〈vol.10〉産科/著者不明
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