妊娠高血圧症候群の管理〜前編〜 | 産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

産婦人科専門医・周産期専門医からのメッセージ

 第一線で働く産婦人科専門医・周産期専門医(母体・胎児)からのメッセージというモチーフのもと、専門家の視点で、妊娠・出産・不妊症に関する話題や情報を提供しています。女性の健康管理・病気に関する話題も併せて提供していきます。

 妊娠高血圧症候群の根本的な治療法はターミネーション(妊娠の中断・終結)しかありません。そして、医学・医療が発展を遂げた現在においても、妊娠高血圧症候群そのものに対する効果的治療法はないということになります。入院安静や食事療法・高血圧の薬物療法などはすべて対症療法にすぎないのです。

 そして、母体の安全を優先としながらも適切な分娩時期を模索・決定していくことが、妊娠高血圧症候群の管理の主体となります。適切な分娩時期を模索していく中で、必要に応じて病態による母体の危機を回避するために対症療法が行われます

 これらの点はこれまでに何度も強調してきました。

 しかし、実はこの適切な分娩時期を模索・決定することが意外と難しいのです。そこで、今回は妊娠高血圧症候群を予防すること、早期発見することを含め、適切な分娩時期を模索・決定するための管理方法について記載したいと思います。

外来管理
 初診時に、家族歴・既往歴・妊娠分娩歴・生活習慣等を問診後、肥満度・血圧測定・尿蛋白検査を行って妊娠高血圧症候群のハイリスク群のスクリーニングを行います。そして、ハイリスク群や妊娠高血圧症候群の軽症例に対しては発症予防や症状の悪化を防止するのため生活指導を行います。生活指導としては、症状悪化の防止のためには、安静をこころがけること・ストレスを避けることが大切です。妊娠高血圧症候群の予防には、軽度の運動や規則正しい生活がすすめられます。
 妊娠高血圧症候群のリスク因子はhttp://ameblo.jp/sanfujin/entry-10745533168.htmlで紹介しました。参考にしてください。

 食事・栄養指導については治療のところで既に述べたとおりですので、そちらを参考にしてください。
 http://ameblo.jp/sanfujin/entry-10763904010.htmlです。

 また、超音波断層法により胎児発育を検討し、超音波パルスドプラー法・胎児心拍モニタリング(NST)により胎児状態を把握します。外来での妊娠高血圧症候群妊婦の管理は、母体および胎児の症状悪化を早期に発見することが中心となるため、発症例では健診の間隔を狭め(週に1~3回程度の健診)重症例や子宮内胎児発育不全を合併した場合にはただちに入院管理を行います。早発型では軽症例でも入院管理を考慮します。 

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